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音楽制作

リアンプとは?やり方と手順をわかりやすく解説

「DI録音したギタートラックを、後からアンプで鳴らし直したい」

レコーディングに慣れてきたころ、そんな疑問を持つ方は少なくありません。それが「リアンプ」という手法です。

本記事では、リアンプの基本的な概念から、実際のやり方・手順まで詳しく解説します。

この記事の結論

  • リアンプは、録音済みのDIトラックを再びアンプに通して音を作り直す手法です。演奏とサウンドメイクを切り離せます。
  • 必要なのはリアンプボックス、オーディオインターフェース、ギターアンプとマイク、録音済みのDIトラックの4つ。
  • リアンプボックスが要です。ラインレベルと楽器レベルのインピーダンスの不一致を変換します。これがないと音が歪み、ノイズが乗ります。
  • 送り出すDIトラックにEQや歪みをかけないこと。素の信号をそのまま出力するのが前提です。
  • マイクはスピーカーの中心から少し外れた位置、距離10〜15cm程度を基準に。数センチ動かすだけで音色は変わります。
  • ハム音が出たら、まずリアンプボックスのグラウンドリフトスイッチを切り替えてください。

リアンプとは?基本の考え方

music production studio (Photo: Bert Christiaens / Pexels)

リアンプ(Re-Amping)とは、一度録音したギターやベースのDI(ダイレクト)トラックを、再びアンプに通して音を作り直す手法です。

通常のレコーディングでは、楽器の音をアンプで鳴らしながら収録します。しかしリアンプでは、まず「素の信号」をDIでそのまま録っておき、アンプサウンドの作り込みは後から行います。

この2段階のアプローチには、大きな利点があります。演奏とサウンドメイクを切り離せるため、「演奏は完璧だったけど音色が気に入らなかった」という状況でも、演奏をやり直さずに音だけ変えられるのです。

録音そのものの進め方はエレキギターの録音方法で扱っています。

リアンプに必要な機材

audio equipment recording (Photo: cottonbro studio / Pexels)

リアンプを行うには、いくつかの機材が必要です。それぞれの役割を整理しておきましょう。

機材 役割 押さえる点
リアンプボックス ラインレベルを楽器レベルへ変換する これがないと音が歪み、ノイズが乗る
オーディオインターフェース DIトラックを再生してアンプへ送る 専用のアウトプットに割り当てると扱いやすい
ギターアンプ+マイク 鳴らした音を収録する SM57などのダイナミックマイクが定番
録音済みのDIトラック リアンプの元になる素の信号 EQや歪みをかけずに録っておく

リアンプボックス(Reamp Box)

リアンプで最も重要な機材が「リアンプボックス」です。

オーディオインターフェースから出力される信号は、ラインレベル(比較的高いインピーダンス)です。一方、ギターアンプのインプットが受け取れるのは、楽器レベルの信号(高インピーダンス)です。

この2つをそのまま繋ぐと、インピーダンスの不一致により音が歪んだり、ノイズが乗ったりします。リアンプボックスは、この信号レベルとインピーダンスを適切に変換する装置です。

オーディオインターフェース

DAWで録音済みのDIトラックを再生し、アナログ信号としてアンプへ送り出すために使います。アウトプット端子(通常はTRS/フォーン)からリアンプボックスへ接続します。

ギターアンプ+マイク

リアンプで鳴らしたアンプの音を収録するためのマイクと、アンプ本体が必要です。マイクはSM57などのダイナミックマイクが定番ですが、部屋の鳴りも加えたい場合はコンデンサーマイクを併用する方法もあります。

用途別の選び方はマイク選び方ガイドにまとめました。

DAWと録音済みDIトラック

リアンプの元になるDI音源が必要です。録音時にDIボックスを通じて「素の信号」を別トラックとして録っておく習慣をつけておくと、後からリアンプしやすくなります。

アンプそのものの選び方はライブアンプの選び方が参考になるはずです。

リアンプのやり方・手順

mixing console sound engineer (Photo: AI25.Studio  AI GENERATIVE / Pexels)

機材が揃ったら、実際の手順に沿って進めましょう。

ステップ1:DIトラックをオーディオとして書き出す

DAW上に録音済みのDIトラックを用意します。プロジェクトファイルのまま使用するか、必要であればオーディオファイルとして書き出しておきましょう。

送り出すトラックには、EQや歪みなどのエフェクトをかけないようにしてください。素の信号をそのまま出力することがリアンプの前提です。

ステップ2:オーディオインターフェースのアウトプットをリアンプボックスへ接続

オーディオインターフェースのライン出力(フォーンまたはTRS端子)とリアンプボックスの入力を、ケーブルで繋ぎます。

DAW側では、DIトラックの再生先を使用するアウトプットに指定しておきます(例:Output 1-2ではなくOutput 3など、専用のアウトプットに設定するとクリーンに扱えます)。

ステップ3:リアンプボックスとギターアンプを接続

リアンプボックスの出力端子から、ギターケーブルでアンプのインプットへ接続します。

この段階でアンプの音量を小さめに設定しておくことをおすすめします。信号の強さや接続状況を確認してから、少しずつボリュームを上げていくとよいでしょう。

ステップ4:アンプの前にマイクをセッティング

マイクをアンプのスピーカーキャビネット正面に配置します。マイクの角度や距離によって音色が大きく変わるため、まずはスピーカーの中心から少し外れた位置・距離10〜15cm程度を基準にしてみてください。

オーディオインターフェースのマイク入力へ接続し、DAW上に新規オーディオトラックを用意しておきます。

ステップ5:音を確認しながら録音

DIトラックを再生しながら、アンプから出た音をマイクで拾って録音します。

アンプのトーン(ゲイン、ベース、ミドル、トレブルなど)を調整しながら、求めるサウンドを探っていきましょう。演奏はすでに録れているので、この工程はサウンドデザインに集中できます。

録り終えた音の整え方は音楽制作のミックスとはで解説しています。

気に入った音が見つかったら録音開始。複数のアンプセッティングを試したい場合は、テイクを複数録っておくと後の選択肢が広がります。

リアンプを行う際のポイントと注意点

professional recording studio (Photo: RDNE Stock project / Pexels)

レベルの調整に注意する

オーディオインターフェースの出力レベルが高すぎると、リアンプボックスを通しても信号が歪む場合があります。DAW上の再生トラックのゲインを下げるか、インターフェース側の出力レベルを調整して対応しましょう。

グラウンドループ(ハム音)への対処

リアンプ時に「ブーン」というハム音が発生することがあります。これはグラウンドループと呼ばれる現象で、複数の機材間でアース(グラウンド)の電位差が生じるときに起こります。

リアンプボックスにはグラウンドリフトスイッチが搭載されているモデルが多く、これを切り替えるだけで改善することがほとんどです。ノイズが出たらまず試してみてください。

他の種類のノイズの扱いはノイズ除去の方法にまとめてあります。

マイクの位置を複数試す

同じアンプセッティングでも、マイクの位置を数センチ変えるだけで音色が大きく変わります。スピーカーのコーン中央と端では高域の出方が異なり、距離が遠くなるほど部屋の反響が乗ってきます。

焦らずに複数のポジションで試し録りを行い、波形を聴き比べるとよいでしょう。

プラグインアンプシミュレーターとの使い分け

リアンプは実機アンプならではのサウンドを得られる反利点として、騒音や設備の問題がつきまといます。深夜の宅録や賃貸環境では現実的でない場面もあるでしょう。

そのような場合は、プラグイン型のアンプシミュレーターも有力な選択肢になります。AmpliTube、Native InstrumentsのGuitar Rig、Positive GridのBIAS Ampなどが知られています。

リアンプと使い分け、または組み合わせながら活用するとよいでしょう。無料で試せるものは無料VSTプラグインのおすすめでも紹介しました。

よくある質問

リアンプとは何ですか?

一度録音したギターやベースのDI(ダイレクト)トラックを、再びアンプに通して音を作り直す手法です。

通常のレコーディングでは楽器の音をアンプで鳴らしながら収録しますが、リアンプではまず素の信号をDIで録っておき、アンプサウンドの作り込みは後から行います。

リアンプの利点は何ですか?

演奏とサウンドメイクを切り離せることです。「演奏は完璧だったけど音色が気に入らなかった」という状況でも、演奏をやり直さずに音だけ変えられます。

音を探る工程で演奏のことを考えなくて済むため、サウンドデザインに集中できます。

リアンプボックスは必要ですか?

必要です。オーディオインターフェースから出力される信号はラインレベルで、ギターアンプのインプットが受け取れるのは楽器レベルの信号です。

この2つをそのまま繋ぐと、インピーダンスの不一致により音が歪んだりノイズが乗ったりします。リアンプボックスは、この信号レベルとインピーダンスを変換する装置です。

送り出すトラックにエフェクトをかけてよいですか?

かけないでください。EQや歪みを通さず、素の信号をそのまま出力することがリアンプの前提です。

DAW側では、専用のアウトプットに割り当てておくとクリーンに扱えます。

マイクはどこに立てればよいですか?

スピーカーの中心から少し外れた位置、距離10〜15cm程度を基準にしてください。

同じアンプセッティングでも、マイクの位置を数センチ変えるだけで音色が変わります。コーン中央と端では高域の出方が異なり、距離が遠くなるほど部屋の反響が乗ります。

複数のポジションで試し録りをして聴き比べましょう。

「ブーン」というハム音が出ます

グラウンドループと呼ばれる現象で、複数の機材間でアースの電位差が生じるときに起こります。

リアンプボックスにはグラウンドリフトスイッチが搭載されているモデルが多く、これを切り替えるだけで改善することがほとんどです。信号が歪む場合は、出力レベルが高すぎないかも確認してください。

実機アンプがない場合はどうしますか?

プラグイン型のアンプシミュレーターが選択肢になります。AmpliTube、Native InstrumentsのGuitar Rig、Positive GridのBIAS Ampなどが知られています。

騒音や設備の問題で実機が使えない深夜の宅録や賃貸環境では、こちらのほうが現実的です。リアンプと使い分ける、あるいは組み合わせる形も取れます。

リアンプのやり方まとめ

リアンプは、演奏とサウンドメイクを分離することで、レコーディングの自由度を大きく高める手法です。

– DIトラックを素の状態で録音しておく – リアンプボックスで信号レベルとインピーダンスを変換する – アンプ・マイク・DAWを組み合わせて再収録する – グラウンドループやレベル管理に気を配る

初めてのリアンプは手順が多く感じるかもしれませんが、一度流れを体験すると「後から音を変えられる安心感」の大きさに気づくはずです。宅録環境が整っている方は、ぜひ試してみてください。

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