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レコーディング

録音レベルの設定方法を徹底解説!宅録で音割れとノイズを防ぐ手順

録音レベルは、ピークで-12dBFSから-6dBFS、平均で-18dBFS前後に収めれば扱いやすい素材になります。0dBFSを超えた波形は切り落とされ、あとから元に戻せません。

割れを防げるのは録音前のゲインだけです。DAWのフェーダーは再生音量を変えているだけなので、下げても録音済みのクリップは直りません。

合わせ方の原則は1つ。本番と同じ最大の強さで音を出し、そのピークを基準にすること。

この記事では単位の意味、狙う目安、ゲインの合わせ方、楽器ごとの注意点、暴れるときの対処、書き出しまでをまとめました。

この記事の結論

  • 録音レベルはdBFSで表し、0dBFSが絶対の天井です。超えた波形は切り落とされ、あとから復元できません。
  • ピークは-12dBFSから-6dBFS、平均は-18dBFS前後が目安になります。天井までの余白が、想定外の音量を吸収します。
  • 音割れを防げるのは録音前のゲインだけです。DAWのフェーダーは再生音量を変えているだけなので、クリップは直りません。
  • ゲインは最小から上げてください。本番と同じ最大の強さで音を出し、そのピークを基準に合わせます。
  • ボーカルはサビを基準に、アコースティックギターは耳の印象ではなくメーターを見て決めます。
  • 迷ったら小さめに録ってください。小さい音は後から持ち上げられますが、割れた音は救えません。

録音レベルとは何を指すのか

audio level meter (Photo: Javier Zari U. / Pexels)

まず、言葉の意味を整理しておきましょう。ここが曖昧なままだと、他の人の説明を読んでも数字がかみ合わなくなります。

録音レベルとは、DAWに記録される信号の大きさのことです。デジタル録音では、この大きさを dBFS という単位で表します。

フルスケール、つまり記録できる上限を0とし、そこからマイナス何dBかで示す方式です。

ここで重要なのが、0dBFSが絶対の天井になるという点です。上限を超えた波形は、その部分がまるごと切り落とされます。

これがクリップと呼ばれる現象で、ジリッという不快な歪みとして残ります。しかも、後から元に戻す手段はありません。

もう一つ押さえておきたいのが、ゲインとフェーダーは別物だという区別です。オーディオインターフェースのつまみで調整するゲインは、マイクからの微弱な信号を録音に適した大きさまで増幅する装置です。

一方、DAWの画面上にあるフェーダーは、すでに記録された音の再生音量を変えているだけです。フェーダーを下げても、録音済みのクリップは直りません。

つまり、音割れを防げるのは録音前のゲインだけということになります。録りながらDAWのメーターを見て、あとで直せばいいと考えていると、取り返しのつかない素材が残ってしまいます。

信号がマイクからスピーカーまでたどる道筋を、ゲインステージと呼びます。その設計の入口が、録音レベルの設定なのです。

録る部屋の整え方は宅録環境の作り方で扱っています。

宅録で狙いたい録音レベルの目安

狙う値を、先に一覧にします。

項目 目安 理由
ピーク -12dBFS〜-6dBFS 0dBFSまでの余白(ヘッドルーム)を残す
平均(常時揺れる帯) -18dBFS前後 プラグインが素直に動作する基準
ボーカルの基準点 サビの最大値 Aメロとサビで10dB以上の差が出る
アコースティックギターのピーク -8dBFS程度 アタックが鋭く、耳の印象よりメーターが振れる
書き出し 24bitのWAV・クリップなし ミックス側で扱いやすい

mixing console faders (Photo: David Maat / Pexels)

では、具体的にどのくらいを狙えばよいのでしょうか。結論から言うと、ピークで-12dBFSから-6dBFSのあいだに収まっていれば、まず問題ありません。

平均的な音量、つまりメーターが常時揺れている帯は、-18dBFS前後を目安にするとよいでしょう。この数値は、アナログ機材を再現したプラグインが想定する基準として広く使われているものです。

ここで違和感を持つ方もいるかもしれません。0dBFSまで余白があるなら、もっと大きく録ったほうが得ではないか、という感覚でしょう。

しかし、現在の機材では大きく録るメリットがほとんどありません。24bitで録音していれば記録できる音の細かさは確保されており、-18dBFSで録った音を後から持ち上げても、音質が目に見えて劣化することはないと考えて差し支えありません。

むしろ、天井までの余白、いわゆるヘッドルームを残しておくことに実利があります。歌の一番熱がこもったテイクで、想定より3dB大きな声が出ることは珍しくないからです。

余白は保険だと考えてください。-6dBFSでピークが止まるように設定しておけば、多少の想定外があっても割れません。

反対に、極端に小さい録音にも弊害があります。後から大きく持ち上げると、機材のわずかなノイズや部屋のエアコンの音まで一緒に大きくなるからです。

大きすぎず、小さすぎず。メーターの真ん中よりやや上で安定している状態が、扱いやすい素材の目安です。

オーディオインターフェースのゲインを合わせる手順

audio interface knobs (Photo: Egor Komarov / Pexels)

ここからは実際の作業手順です。順番を守るだけで、迷う時間が減ります。

最初にモニター環境を整えます。ヘッドホンで自分の声を返しながら録る場合、返しの音量とゲインを混同しないよう注意してください。

ヘッドホンのボリュームは、録音される音の大きさとは無関係です。

次に、ゲインをいったん最小まで絞ります。ゼロから上げていくほうが、適正な位置を見つけやすくなります。

そして、本番と同じ強さで音を出します。ここが最も見落とされやすい工程です。

テストのつもりで小さく歌い、本番で全力を出せば、当然オーバーします。

サビの一番強い箇所を、実際に歌ってみてください。最大値を基準に合わせるのが原則です。

その状態でメーターを見ながら、ゲインを少しずつ上げます。ピークが-6dBFS付近に届いたところで手を止めましょう。

インターフェースにピークランプがある場合、そのランプが点灯しない範囲に収めます。

最後に、通しで一度録って確認します。曲全体を通すと、想定していなかった箇所で音量が跳ねることがあります。

この確認テイクは捨てるつもりで構いません。

パソコン側のOSにも、マイク入力の音量設定が存在します。ここが低く設定されていると、インターフェースで適正に合わせても信号が痩せることがあるので、一度確認しておきましょう。

マイク選びから含めた録り方はボーカル録音のコツにまとめてあります。

ボーカルとアコースティックギターの合わせ方

condenser microphone acoustic guitar (Photo: SilvaNeto / Pexels)

音源の性質によって、気をつける点が変わります。まずは、宅録で扱う機会が最も多い2つから見ていきましょう。

ボーカル

最も音量差が大きい音源がボーカルです。囁くようなAメロと、張り上げるサビでは、10dB以上の開きが出ることも普通にあります。

そのため、サビを基準にゲインを決めるのが安全です。静かな箇所は、後から持ち上げれば済みます。

歌い手とマイクの距離も、レベルに直結します。近づけば大きく、離れれば小さくなるので、録音中に体が前後しないよう立ち位置を決めておくと安定します。

床にテープで印をつけておく方法は、費用をかけずにできる工夫です。

破裂音の対策も忘れずに行いましょう。パ行やバ行で空気の塊がマイクに当たると、メーターが一瞬で振り切れます。

部屋のノイズをあとで減らす手順はノイズ除去の方法で解説しています。

アコースティックギター

弦を弾いた瞬間のアタックが鋭いのが特徴です。耳で聞いた印象より、メーターは大きく振れます。

数値が高く出るため、耳ではなくメーターを信じて設定してください。ピークで-8dBFS程度に抑えておくと、後の処理が楽になります。

マイクの位置でもレベルは変わります。サウンドホールの正面に向けると低音とアタックが強く出るため、12フレット付近を狙って15センチから20センチほど離すと、値が落ち着きやすくなります。

1曲の中でストロークとアルペジオを弾き分ける場合は、強く掻き鳴らすほうを基準にゲインを決めておきましょう。

マイクの立て方そのものはアコースティックギターを自宅で録音する方法が入口です。

アンプと鍵盤を使う楽器のレベル設定

guitar amplifier keyboard studio (Photo: RDNE Stock project / Pexels)

アンプやライン出力を経由する楽器は、音量を決められる箇所が複数あります。どこで決めるのかを先に固定しておくと、迷う時間が減ります。

エレキギター・ベース

アンプから出た音をマイクで録る場合、アンプの音量とマイクのゲイン、二つの調整箇所がある点に注意が必要です。まずアンプ側で好みの音色を作り、その状態でマイクのゲインを合わせる順番が基本になります。

アンプを後から動かすと音色まで変わるため、触る順番を固定しておくと、やり直しが減ります。

アンプまわりの選択肢はエレキギターの録音方法で扱っています。

楽器を直接つなぐときは、入力をHi-Z、つまりハイインピーダンス対応に切り替えてください。ここが合っていないと、ゲインを上げてもレベルが伸びません。

ベースは低域のエネルギーが大きく、耳で感じる音量よりメーターが振れやすい楽器です。低い開放弦を強く弾いたときの値を基準にしておきましょう。

ピアノ・鍵盤

打鍵の強弱がそのままレベルに出ます。低音側は特にエネルギーが大きいので、和音を強く弾いたときの値を見ておくと安心です。

音色を切り替えて使う場合は、最も音量の大きい音色を基準に合わせておきましょう。オルガンやストリングスなど、音が伸び続ける音色は値が高くなりがちです。

電子ピアノをラインでつなぐなら、楽器側の出力音量を基準の位置に固定してから、インターフェースのゲインで調整してください。両方を同時に動かすと、次回同じ設定を再現できなくなります。

ペダルを踏んだまま弾き続けると、響きが重なってレベルはさらに上がります。ペダルを多く使う曲では、その状態で一度確認しておきましょう。

レベルが小さすぎる場合と大きすぎる場合

sound wave display (Photo: Egor Komarov / Pexels)

失敗の形は、大きく二つに分かれます。それぞれ何が起きるのかを知っておくと、判断が早くなります。

小さすぎる場合、まず問題になるのがノイズです。信号とノイズの比率をS/N比と呼びますが、信号が小さいほどこの比率が悪化します。

録った音を持ち上げれば、マイクやプリアンプが発する微細なノイズも同じだけ大きくなります。

編集の精度も落ちます。波形が細い線のようにしか表示されないと、どこで音が始まっているのかを目で追えません。

大きすぎる場合、最大の問題はクリップです。0dBFSを超えて切り落とされた波形は、復元できません。

厄介なのは、軽度のクリップは気づきにくいという点です。数サンプルだけ天井に張り付いた状態は、パッと聞いただけでは分かりません。

しかし、ミックスで音圧を上げていく過程で、耳障りな歪みとして表面化することがあります。

そのため、録音後に一度、波形を拡大して確認する習慣をつけておきましょう。DAWによってはクリップを検出して赤く表示してくれる機能があるので、活用してみてください。

プラグインの動作にも影響します。アナログ機材を再現したプラグインの多くは-18dBFS前後の信号を想定しており、極端に大きな信号を入れると想定外の歪み方をすることがあります。

どちらの失敗も、録り直しが最も確実な解決策です。判断に迷ったら、少し小さめを選んでください。

小さい録音は救えますが、割れた録音は救えないからです。

演奏中にレベルが暴れるときの対処法

singer recording microphone (Photo: cottonbro studio / Pexels)

適正に設定したはずなのに、テイクによって音量が大きくばらつく。宅録では起こりやすい部類の悩みです。

まず試したいのが、マイクとの距離を一定にする工夫です。歌に集中すると、無意識に体が動きます。

マイクスタンドの高さを口の位置に正確に合わせておきましょう。

マイクの向きを少し変える方法も有効です。正面から数センチ外すだけで、強く出したときの跳ね上がりが穏やかになります。

音色は多少変わりますが、扱いやすさとの兼ね合いで選ぶ価値があります。

セクションごとに分けて録るという手もあります。静かなAメロと激しいサビを別テイクとして録り、それぞれに適したゲインを設定する方法です。

歌い方そのものを調整する選択肢もあります。強く出す箇所で、意識的に少しマイクから顔を引く。

プロの現場でも普通に行われている技術で、費用は一切かかりません。

機材で解決する方法として、録音時のコンプレッサーがあります。ただし、録音時にかけた圧縮は後から外せないため、宅録の初期段階ではおすすめしません。

かけるとしても、軽く抑える程度にとどめてください。圧縮の比率を2対1程度、深く踏み込まない設定にしておけば、大きな失敗にはなりにくいでしょう。

圧縮そのものの仕組みはコンプレッサーの使い方が参考になるはずです。

なお、インターフェースによっては、同じ音を大小2つのレベルで同時に記録する機能を備えたものもあります。仕様は製品によって異なるため、購入前に確認しておきましょう。

録音後のレベル調整とミックスへの受け渡し

home studio laptop (Photo: Giuseppe  Di Maria / Pexels)

無事に録り終えたら、次の工程へ渡す準備をします。ここを丁寧にやると、ミックスの見通しが良くなります。

まず、不要な部分を消します。歌が入っていない区間に残った物音や、椅子のきしみ。

こうした音は、他のトラックと重なったときに濁りの原因になります。

次に、トラック全体のレベル感を揃えてください。DAWのクリップゲイン機能を使えば、フェーダーを動かさずに部分ごとの音量を整えられます。

この作業を先に済ませておくと、コンプレッサーの効き方が安定します。音量の凸凹を機械任せにせず、手で均しておく。

地味ですが効果の大きい工程といえます。

書き出すときのレベルにも気を配りましょう。他の人にミックスを依頼する場合、書き出したファイルがクリップしていないかを必ず確認してください。

形式は24bitのWAVが無難です。

録音の段階では、音圧を稼ごうとしないことが大切です。大きく録っても、最終的な音の大きさは後の工程で決まります。

録音時に無理をした分は、歪みという形で残るだけになってしまいます。

一つひとつのトラックに余白を残しておけば、まとめたときにも天井を突き破りません。余白を持って録り、後で足す。

この順番を守ることが、扱いやすい音源への近道です。

よくある質問

録音レベルはどのくらいに設定すればよいですか?

ピークで-12dBFSから-6dBFS、常時揺れている平均の帯で-18dBFS前後が目安です。-18dBFSは、アナログ機材を再現したプラグインが想定する基準として広く使われています。

0dBFSまで余白があっても、大きく録るメリットはありません。24bitなら-18dBFSで録った音を後から持ち上げても、音質の劣化は問題になりません。

ゲインとフェーダーの違いは何ですか?

ゲインは、マイクからの微弱な信号を録音に適した大きさまで増幅する装置です。オーディオインターフェースのつまみで操作します。

フェーダーは、すでに記録された音の再生音量を変えるだけです。音割れを防げるのは録音前のゲインだけで、フェーダーを下げても録音済みのクリップは直りません。

音割れしてしまった録音は直せますか?

直せません。0dBFSを超えた部分は波形がまるごと切り落とされており、復元する手段がないためです。

録り直すのが最も確実です。軽度のクリップは聞いただけでは分かりにくいので、録音後に波形を拡大して確認してください。

ゲインを合わせる手順を教えてください。

まずゲインを最小まで絞り、本番と同じ強さで音を出します。メーターを見ながら少しずつ上げ、ピークが-6dBFS付近に届いたところで手を止めてください。

最後に曲を通して一度録り、想定外に音量が跳ねる箇所がないかを確認します。このテイクは捨てるつもりで構いません。

ボーカルとアコースティックギターで設定は変わりますか?

変わります。ボーカルはAメロとサビで10dB以上の差が出るため、サビを基準にゲインを決めてください。

アコースティックギターはアタックが鋭く、耳の印象よりメーターが振れます。ピークで-8dBFS程度に抑え、12フレット付近を15センチから20センチ離して狙うと値が落ち着きます。

テイクごとに音量がばらつくときはどうしますか?

先にマイクとの距離を一定にしてください。スタンドの高さを口の位置に合わせ、床にテープで立ち位置の印をつけると安定します。

マイクの向きを正面から数センチ外す、静かなセクションと激しいセクションを別テイクに分ける、という手もあります。

録音時にコンプレッサーをかけてもよいですか?

録音時にかけた圧縮は後から外せないため、宅録の初期段階ではおすすめしません。

かけるとしても、比率を2対1程度にとどめて軽く抑える範囲にしてください。レベルの凸凹は、録音後にクリップゲインで均すほうが戻しがききます。

録音レベル設定のまとめ

headphones desk studio (Photo: Karol D / Pexels)

録音レベルの設定について、押さえておきたいポイントを整理します。

  • 録音レベルはdBFSで表し、0dBFSを超えた音は元に戻せない
  • ピークは-12dBFSから-6dBFS、平均は-18dBFS前後を目安にする
  • ゲインは録音前の増幅、フェーダーは再生音量で、役割がまったく違う
  • ゲインは最小から上げ、本番と同じ最大の強さで音を出して合わせる
  • ボーカルはサビを基準に、アコギは耳よりメーターを信じて設定する
  • 小さすぎるとノイズが目立ち、大きすぎると復元できない歪みが残る
  • レベルが暴れるときは、マイクとの距離と向きを先に見直す
  • 録音後はクリップゲインで音量差を均してから書き出す
  • 迷ったら小さめに録る。小さい音は救えるが、割れた音は救えない

まずは次の録音で、本番と同じ強さで一度声を出し、メーターのピークが-6dBFSを超えない位置でゲインを止めてみてください。

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