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レコーディング

ブレスの処理と編集のやり方!宅録ボーカルを自然に聴かせるコツ

ブレスの処理で目指すのは、消すことではなく量を整えることです。耳につくものだけ音量を3dBから10dB下げ、サビの入り口とフレーズ間の息は残します。

録音ではマイクが口元に近いため、ブレスは生で聴くときより目立ちます。コンプレッサーをかけるとさらに持ち上がり、ミックスの終盤で急に気になり始めます。

この記事では、残す息と削る息の判断基準、録音時の工夫、DAWでの手順、方法の使い分け、よくある失敗、作業時間の目安までまとめました。

この記事の結論

  • 目的は消すことではありません。耳につく量だけを整えるのがブレス処理です。
  • サビの入り口とフレーズ間の息は残してください。削るのは、歌い出し前の準備の息や間奏中の息です。
  • ハモリやダブルのトラックのブレスは消して構いません。同じ位置で重なると、量が倍以上に感じられます。
  • 処理は音量を下げる・カットする・差し替えるの3通り。まず音量を3dBから10dB下げる方法を試しましょう。
  • カットした箇所には必ず短いフェードをかけます。段差はプチッというノイズの原因です。
  • 3分の曲で作業時間は30分から1時間が目安。時間がなければ、サビ前とAメロ頭だけでも印象は変わります。

ブレスの処理が必要になるのはなぜか

audio waveform screen (Photo: Egor Komarov / Pexels)

録音した音源では、ブレスが実際より目立って聞こえるという現象が起こります。マイクが口元の近くにあるため、生で聴くときのバランスとは違う比率で息の音が入るためです。

ここを理解しておくと、処理の目的がはっきりします。

コンプレッサーをかけると、さらに強調されます。音量差を縮める処理なので、小さいはずのブレスが持ち上がってしまいます。

ミックスの終盤で急に息が気になり始めるのは、コンプレッサーの影響によるものがほとんどです。

かかり具合の決め方はコンプレッサーの使い方で解説しています。

イヤホンやヘッドホンで聴かれる前提も、無視できない要素です。スピーカーで鳴らすより息の音が近く感じられ、聴き手の集中を削ぐ原因になります。

配信やサブスクで聴かれる曲ほど、丁寧に整える価値があります。

歌詞の聞き取りやすさにも関わる要素です。フレーズの頭にかぶさる息が大きいと、最初の一音が埋もれます。

言葉を届けたい曲では、ここが仕上がりの差になります。

一方で、ブレスは表現の一部でもあるという点を忘れないでください。息を吸う音があるからこそ、そこに人が立って歌っているという実感が生まれます。

すべて消してしまうと、うまく言えない違和感が残ります。

**目指すのは「消すこと」ではなく「量を整えること」**です。耳につくものだけを下げ、曲に必要なものは残す。

この考え方を持って作業に入ると、判断がぶれにくくなります。

残すブレスと削るブレスの判断基準

singer headphones studio (Photo: cottonbro studio / Pexels)

まず、曲のジャンルとテンポで方針を決めましょう。バラードや弾き語りは息の存在感が曲の一部になりますが、打ち込み主体のアップテンポでは邪魔になりやすい傾向があります。

最初に方針を決めておけば、一つひとつ悩まずに済みます。

サビの入り口の息は残すことを基本にしてみてください。大きく吸い込む音は、これから盛り上がるという合図として働きます。

ここを消すと、サビが唐突に始まる印象になります。

フレーズとフレーズの間の短い息も、基本は残すほうが自然です。歌が途切れず流れていく感覚は、こうした細かい息が支えています。

削る候補になるのは、音楽的な意味を持たない息です。歌い出す前の準備の息、間奏中に入り込んだ息、フェードアウト部分の息。

これらは残しても得るものがありません。

明らかに音量が浮いているものも対象になります。他のブレスと比べて突出しているものだけを選んで下げると、全体のばらつきが整います。

ハモリやダブルのトラックは、思い切って削って問題ありません。同じ位置で複数の息が重なると、量が倍以上に感じられます。

メインのブレスだけを残し、重ねたトラックは無音にするのが定番の処理です。

ピッチ補正と合わせた編集全体の流れは、ボーカル編集とピッチ補正の基本で扱っています。

迷ったときは、消した状態と残した状態を通しで聴き比べてください。部分再生では判断できません。

曲全体の流れの中で違和感が出ないほうを選びましょう。

録音の段階でやっておきたい工夫

condenser microphone pop filter (Photo: Brett Sayles / Pexels)

編集の手間は、録音のやり方でかなり変わります。あとから直すより、入り口で減らすほうが確実です。

特別な機材がなくてもできることがあります。

マイクとの距離を少しだけ空けることが、最も基本的な対策です。近づきすぎると息の風がそのまま入ります。

こぶし1つ半から2つ分を目安に、曲ごとに調整してみましょう。

距離と角度の詰め方はボーカル録音のコツ、マイクそのものの選び方はアーティストのためのマイク選び方ガイドにまとめてあります。

マイクの角度をずらす方法も効果があります。真正面ではなく、口元から数センチ外した位置に向けると、息の直撃を避けられます。

音色が変わるため、録音前に何パターンか試して選んでください。

ポップガードを使うことも忘れないようにしましょう。市販品は1,000円前後から手に入りますが、金額は変動する可能性があります。

手作りする方もいますが、位置が安定するものを選ぶと扱いやすくなります。

息を吸う向きを変えるという工夫も有効です。マイクに向かって吸うのではなく、少し横や下を向いて吸う癖をつけるだけで、入り込む量が減ります。

慣れるまで時間はかかりますが、覚えてしまえば一生使えます。

テイクを分けて録る方法も現実的です。フレーズごとに区切って録音すると、息の入るタイミングを自分でコントロールできます。

歌う前に喉と体を整えておくことも、地味ですが効いてきます。乾いた状態では息の音が鋭くなりやすいため、水分を取ってから臨みましょう。

前日からの整え方は歌入れの準備で解説しています。

DAWでブレスを処理する基本手順

laptop music software editing (Photo: Bert Christiaens / Pexels)

作業に入る前に、必ず元のデータを複製してください。編集を重ねたあとで戻したくなる場面は必ず訪れます。

トラックを複製して片方を非表示にしておくだけで、安心して手を入れられます。

最初に波形を拡大して、全体を眺めましょう。ブレスは歌より小さく、短く、丸みのある波形として現れます。

慣れると見ただけで位置が分かるようになります。

曲の頭から順に、一つずつ確認してください。効率は悪く見えますが、まとめて処理すると必要なものまで削ってしまいます。

3分の曲で30か所から50か所程度が目安になります。

処理の方法は、大きく分けて3通りです。音量を下げる、切り取って無音にする、別の素材に差し替える。

それぞれの使い分けは次の章で詳しく扱います。

切ったり下げたりしたら、必ずフェードをかけましょう。急に音が変わる箇所は、プチッというノイズの原因になります。

数ミリ秒の短いフェードで防げます。

歌の直前に少しだけ余白を残すことも意識してください。ブレスを完全に詰めると、歌の入りが不自然に感じられます。

一通り終えたら、全体を通して聴きます。個別に確認しているときは気づかない不自然さが、通し再生で見えてきます。

気になった箇所だけ戻して調整しましょう。

音量調整・カット・差し替えの使い分け

mixing console faders (Photo: David Maat / Pexels)

3つの方法は、次のように使い分けます。

方法 使う場面 注意点
音量を下げる 耳につくブレス全般。最も使う 3dBから10dB程度。下げすぎると呼吸が消える
カットして無音にする 歌い出し前・間奏中・曲の最後の息 環境音が途切れて浮く。近くの無音部分をコピーして貼る
差し替える 特定のブレスだけが耳障りなとき 同じセッションで録れた素材を使う
自動処理のプラグイン 数が多くて手が回らないとき 判定を外すことがある。かけた後に耳で確認する

最も使う頻度が高いのは、音量を下げる方法です。ブレスの区間だけを選んでゲインを下げれば、存在は残したまま耳につく感じだけを消せます。

3dBから10dB程度の範囲で、聴きながら決めていきましょう。

この方法の利点は、自然さを保てることにあります。息づかいが残るので、歌が生きたまま整います。

迷ったらまずこれを試してみてください。

完全にカットするのは、不要な息に限るという使い分けが適しています。歌い出し前の準備の息、間奏中の息、曲の最後に残った息。

これらは無音にしても違和感が出ません。

カットする場合は、周囲の環境音に注意しましょう。宅録では部屋の暗騒音が入っているため、そこだけ完全な無音になると不自然に浮きます。

近くの無音部分をコピーして貼るか、ごく小さな音量で残す処理が有効です。

差し替えという手もあります。うまく録れたブレスをコピーして、耳障りなブレスと入れ替える方法です。

同じ人の同じセッションの素材なので、違和感なくなじみます。

自動処理のプラグインを使う選択肢もあります。ブレスを検出して下げてくれるものが各社から出ていますが、判定を外すこともあるため、かけたあとに耳で確認する工程は省かないようにしましょう。

どの方法でも、やりすぎを避けることが最優先です。作業に集中していると感覚が鈍るため、途中で休憩を挟んで聴き直すことをおすすめします。

ブレス処理でよくある失敗と直し方

producer listening headphones (Photo: FOERDER ZONE / Pexels)

すべて消してしまうことが、最も多い失敗です。作業中は消すほど整って聞こえますが、翌日に聴くと歌が平坦に感じられます。

処理を終えたら一日置いて、翌日に判断し直しましょう。

フェードを忘れてノイズが出るケースもよくあります。プチプチという音が入っているときは、カットした位置の前後を確認してみてください。

短いフェードを足すだけで解決します。

歌の頭を削ってしまう失敗も起こりがちです。ブレスと歌の境目は連続しているため、範囲を広く取りすぎると子音が欠けます。

「サ」「タ」「カ」で始まる言葉は特に注意が必要です。

下げすぎて呼吸が消える状態にも気をつけましょう。音量を下げること自体は安全な処理ですが、20dBも下げれば実質的にカットと変わりません。

環境音の段差ができる問題は、宅録で頻繁に起こります。無音区間と歌の区間で背景の音が変わると、部屋の空気が出入りするように聞こえます。

ノイズ除去をかけている場合は、ノイズ除去をブレス編集の後に回すと整いやすくなります。

除去の手順そのものはノイズ除去の方法にまとめました。

トラック間で処理の方針がずれることも避けたい失敗です。1番と2番で処理の強さが違うと、曲全体のまとまりが崩れます。

同じ基準で作業できるよう、最初に決めた方針をメモに残しておきましょう。

修正が必要になったら、複製しておいた元トラックから該当箇所だけを戻します。全部やり直す必要はありません。

無料でできる環境と作業時間の目安

home recording desk setup (Photo: Anna Pou / Pexels)

特別な有料ソフトがなくても、ブレス処理は十分に行えます。波形を選択して音量を変えられる機能があれば足ります。

予算をかける前に、手持ちの環境でできる範囲を確認してみましょう。

無料のDAWや音声編集ソフトとしては、WindowsとMacの両方で使えるAudacity、Macに標準で入っているGarageBandなどが挙げられます。オーディオインターフェースを買ったときに付属する簡易版のDAWでも、この記事の処理は行えます。

提供条件や対応環境は変更される可能性があるため、公式サイトで確認しておきましょう。

必要なのは、拡大表示・範囲選択・ゲイン変更・フェードの4機能です。この4つがあれば、この記事で紹介した処理はすべて実行できます。

モニター環境は、手持ちのヘッドホンで問題ありません。高価な機材より、いつも同じもので聴いて基準を作るほうが判断は安定します。

スマートフォンのイヤホンでも一度確認しておくと、実際の聴かれ方に近づけられます。

作業時間は、3分の曲で30分から1時間程度を見ておきましょう。慣れれば20分ほどに縮みますが、最初は倍かかると考えておくと気持ちに余裕が生まれます。

時間が取れない場合は、優先順位をつけましょう。サビ前とAメロ頭の目立つ箇所だけを処理するだけでも、印象は変わります。

全部やろうとして終わらないより、部分的に仕上げるほうが前に進みます。

作業を分割するという進め方も現実的です。仕事や育児の合間に取り組むなら、1日15分でAメロだけ、翌日はBメロだけと区切ってみてください。

よくある質問

ブレスは全部消したほうがよいですか?

消さないでください。すべて消すと歌が平坦になり、人が立って歌っている実感が失われます。

目指すのは量を整えることです。耳につくものだけを下げ、サビの入り口やフレーズ間の息は残しましょう。

どのブレスを削ればよいですか?

音楽的な意味を持たない息です。歌い出す前の準備の息、間奏中に入り込んだ息、フェードアウト部分の息が該当します。

他のブレスと比べて音量が突出しているものも対象になります。ハモリやダブルのトラックは、メインだけ残して消して構いません。

どのくらい音量を下げればよいですか?

3dBから10dB程度の範囲で、聴きながら決めます。

20dBも下げると実質的にカットと変わらず、呼吸そのものが消えてしまいます。下げすぎを防ぐため、一日置いてから聴き直してください。

カットした箇所でプチッというノイズが出るのはなぜですか?

フェードがかかっていないためです。カットした位置の前後に数ミリ秒の短いフェードを足すと解決します。

宅録では、無音にした区間だけ部屋の暗騒音が消えて浮くこともあります。近くの無音部分をコピーして貼るか、ごく小さな音量で残しましょう。

無料のソフトでもブレス処理はできますか?

できます。必要なのは、拡大表示・範囲選択・ゲイン変更・フェードの4機能だけです。

AudacityやGarageBand、オーディオインターフェースに付属する簡易版のDAWでも実行できます。提供条件や対応環境は変更される可能性があるため、公式サイトで確認しましょう。

1曲にどのくらい時間がかかりますか?

3分の曲で30分から1時間程度が目安です。慣れれば20分ほどに縮みます。

時間が取れないときは、サビ前とAメロ頭の目立つ箇所だけを処理してください。全部やろうとして終わらないより、部分的に仕上げるほうが前に進みます。

録音の段階でブレスを減らせますか?

減らせます。マイクとの距離をこぶし1つ半から2つ分空け、口元から数センチ外した角度に向けてください。

ポップガードを使い、息を吸うときに少し横や下を向く癖をつけると、入り込む量はさらに減ります。

ブレス処理のまとめ

vocalist recording booth (Photo: cottonbro studio / Pexels)

ブレスの処理と編集について、押さえておきたい点を整理します。

  • 録音ではブレスが実際より目立ち、コンプレッサーでさらに強調される
  • 目的は消すことではなく、耳につく量だけを整えること
  • サビ前とフレーズ間の息は残し、準備の息や間奏中の息を削る
  • ハモリやダブルのトラックのブレスは思い切って消してよい
  • 録音時にマイクとの距離、角度、ポップガードで入る量を減らせる
  • 処理は音量を下げる、カットする、差し替えるの3通りを使い分ける
  • カットした箇所には必ず短いフェードをかけ、環境音の段差にも注意する
  • やりすぎを防ぐため、一日置いてから聴き直して判断する
  • 3分の曲で30分から1時間が目安、時間がなければ目立つ箇所だけでもよい

まずは手持ちの音源を1曲開いて、サビ前のブレスを1か所だけ選び、音量を5dB下げて聴き比べてみてください。感覚がつかめれば、あとは同じ作業の繰り返しです。

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インディペンデントアーティスト編集部

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