リップノイズ対策を解説!宅録の口内ノイズを減らす録音前後の手順
2026/10/04(更新 2026/10/01)
リップノイズの最大の原因は口の乾きと、唾液が粘つく状態です。前日から水をこまめに飲み、乳製品と甘い飲み物を録音前に避けるだけで量は変わります。
録音中はマイクとの距離を15〜20センチに離し、口の正面を外して立てます。残ったぶんは編集で音量を下げる処理から試す形です。
この記事では仕組み、出やすくなる原因、前日からの準備、直前の対処、マイクと歌い方、編集での処理、場面別の注意点を解説します。
この記事の結論
- 原因は口の乾きと、唾液が粘つく状態の2つです。近接録音とコンプレッサーによる圧縮で、小さな音が持ち上がって目立ちます。
- 前日から水をこまめに飲み、部屋を加湿し、リップクリームを塗って寝るのが土台になります。
- 乳製品と甘い飲み物は録音の数時間前からやめ、常温の水に切り替えてください。
- マイクとの距離は15〜20センチ。口の正面を外して軸を斜めにすると、破裂音も同時に減らせます。
- 編集では完全な無音にせず、数デシベル下げる処理から試すこと。歌に重なったノイズは取り切れません。
- 完全にゼロを目指す必要はありません。プロの音源にも、よく聴けば残っています。
リップノイズとは?録音で目立つ理由

まず、何の音を指しているのかを整理しておきましょう。原因が分かると、打てる手が具体的になります。
リップノイズは、唇や舌が離れるときに鳴る細かい音です。乾いた唇が開く瞬間、舌が上あごから離れる瞬間に、小さな破裂音が生じます。
日常会話ではほとんど意識されない音量です。
マイクを近づけて録るからこそ、目立ってしまいます。宅録では口から10〜20センチ程度の距離で録音することが多く、小さな音まで拾われます。
さらにコンプレッサーで音量差を圧縮すると、小さな音が持ち上がって前に出てきます。
息継ぎの音とは、別のものとして扱いましょう。ブレスは表現の一部として残す判断もありますが、リップノイズは意味を持たない雑音です。
息継ぎ側の扱い方はブレスの処理と編集のやり方にまとめました。
両者を混同すると、必要な息まで削ってしまいます。
ヘッドホンやイヤホンで聴く人ほど敏感です。スピーカーで流せば気にならない音も、耳に密着した状態では明確に聞こえます。
配信で聴かれることを前提にするなら、対策の価値は高いといえます。
完全にゼロにする必要はありません。プロの音源にも、よく聴けば残っています。
目指すのは、聴いていて気にならない水準まで減らすことです。
リップノイズが出やすくなる原因

自分の録音でなぜ多いのかを知ると、対策を絞り込めます。当てはまるものを確認してみてください。
口の中が乾いていることが、最も大きな原因です。唾液が少ない状態では唇や舌が張り付きやすく、離れるたびに音が鳴ります。
緊張や空調の効いた部屋は、乾燥を進める要因です。
逆に、唾液が粘つく状態も音を増やします。乳製品や糖分の多い飲み物をとった直後は、口の中が粘りやすくなります。
水分をとっていても、種類によっては悪化する場合があります。
カフェインやアルコールの影響も見逃せません。利尿作用のある飲み物は体の水分を減らす方向に働くため、録音前の量には気をつけたいところです。
唇の荒れや皮むけも要因になります。乾燥した季節や、リップクリームを塗っていない状態では、唇の表面が引っかかりやすくなります。
マイクとの距離が近すぎることも原因の一つです。距離を詰めるほど声は太くなりますが、同時に細かい音まで拾われます。
歌い方の癖が関係している場合もあります。子音を強く発音する、口を大きく開け閉めする。
こうした癖は表現として有効な反面、ノイズが増えやすくなります。
なお口の乾きが長く続く場合は、体調が関係している可能性もあります。気になる状態が続くようであれば、医療機関に相談して確認しましょう。
録音の前日からできる準備

当日だけで何とかしようとするより、前日からの準備のほうが効果が出ます。費用はほとんどかかりません。
| 段階 | やること |
|---|---|
| 前日 | 水をこまめに飲む/部屋を加湿する/リップクリームを塗って寝る |
| 録音の数時間前 | 乳製品と甘い飲み物をやめ、常温の水に切り替える |
| 録音の直前 | 常温の水を一口含む/りんごを一切れ/口をゆすぐ |
| 録音中 | マイクとの距離を15〜20センチ/口の正面を外す/手前で口を開けておく |
| 録音後 | 波形を拡大し、音量を数デシベル下げる処理から試す |
前日からのコンディション作り全体は歌入れの準備で扱っています。
前日から水をこまめに飲んでおきましょう。録音の直前に大量に飲んでも、体に行き渡るまでには時間がかかります。
数時間おきにコップ1杯ずつとる形が現実的です。
乳製品と甘い飲み物は、録音前に避ける判断が無難です。牛乳やヨーグルト、砂糖の多いジュースは、口の中の粘りを強める場合があります。
録音の数時間前からは、常温の水に切り替えておきましょう。
部屋の湿度を上げておくことも有効です。加湿器がなければ、濡らしたタオルを室内に干すだけでも変わります。
空調を止めて録音する方法も、乾燥と空調音の両方を抑えられます。
唇のケアは、当日ではなく前日から行っておきましょう。リップクリームを塗って寝るだけで、翌日の状態が違ってきます。
皮がむけている場合は、無理に剥がさないよう気をつけてください。
睡眠と食事を整えておくことも土台になります。疲れている状態では喉も口も乾きやすく、集中力も続きません。
喉の状態を保つ道具は歌手におすすめのど飴でも紹介しました。
録音の直前に激しく歌い込まないでください。声を出しすぎると口の中が乾き、後半になるほどノイズが増えていきます。
直前にできる即効性のある対処

録音を始めてからノイズが気になったときに、その場でできる方法を挙げます。
常温の水を、少量ずつ口に含んでください。冷たい水は喉を締めやすいため、常温か白湯のほうが向いています。
テイクの合間ごとに一口ずつ含む運用にすると、状態が保たれるはずです。
炭酸水を試してみる方法もあります。粘りが気になるときに、口の中がすっきりする感覚を得られる場合があります。
合う合わないがあるため、自分で確かめてみてください。
りんごを一切れ食べるという方法も、宅録の現場でよく使われます。酸味が唾液の分泌を促し、口の中の粘りが取れることがあります。
100パーセントのりんごジュースを少量含む形でも構いません。
舌を上あごに当てて、ゆっくり離す動作を数回繰り返してみましょう。唾液が行き渡り、貼り付きが軽くなります。
録音ボタンを押す前の準備運動として取り入れられます。
口をゆすいでから録ることも効果があります。直前に何かを食べた場合は、水で流してから始めましょう。
それでも取れないときは、時間を置いてください。5分ほど休むだけで状態が戻ることがあります。
粘りが強いまま録り続けても、テイク数が増えるだけになってしまいます。
マイクの立て方と歌い方で減らす

道具と姿勢の側からも、拾われる量を減らせます。買い足しが不要な工夫が中心です。
マイクとの距離を、少し離してみましょう。10センチまで詰めていた場合、15〜20センチに変えるだけで細かい音が目立たなくなります。
声が細く感じる分は、後から音量で補えます。
口の正面を外して立てる方法も有効です。マイクを口の高さより少し上か下に置き、軸を斜めにします。
息の直撃を避けられるため、破裂音も同時に減らせる形です。
ポップガードは、風の対策として役立ちます。リップノイズそのものを消す道具ではありませんが、距離を保つ目印になる点で効果があります。
1,000円台から入手でき、価格は時期によって変わるかもしれません。マイク選びそのものはマイク選び方ガイドが参考になります。
歌い出しの直前に、口を軽く開けておきましょう。閉じた状態から急に開くと音が出やすいため、フレーズの手前で開けておくと減らせます。
ブレスの位置を決めておくと、この動作が習慣になります。
子音を出しすぎないよう意識することも一つの手です。「パ」行や「タ」行を強く発音する癖があると、ノイズが増えます。
丁寧さを保ちつつ、力を抜いて発音してみてください。
同じフレーズを何度も録り直すより、休みを挟むほうが結果的に早く終わります。疲労が溜まるほどノイズは増えていきます。
録り方そのものの詰め方はボーカル録音のコツにまとめてあります。
編集で取り除く手順と、その限界

録れてしまったノイズは、編集で処理できます。ただし万能ではないため、手順と限界を知っておきましょう。
まず、波形を拡大して探してください。リップノイズは、フレーズの合間に短い針のような波形として現れます。
音を聴きながら該当箇所を特定していきます。
最も確実な処理は、手作業での削除です。ノイズの部分だけを選択して無音にするか、音量を下げます。
前後の空気音まで切ると不自然になるため、フェードを短くかけると自然につながります。
音量を下げる処理から試すのが安全です。完全な無音にすると、その一瞬だけ空気が消えて違和感が出ます。
数デシベル下げるだけで気にならなくなる場合も少なくありません。
専用のプラグインを使う方法もあります。ノイズ除去やリップノイズの抑制をうたうプラグインが提供されており、該当しそうな箇所を自動で検出して音量を下げてくれます。
無料で使えるものも公開されているため、まず試してみるとよいでしょう。他の種類のノイズの扱いはノイズ除去の方法で解説しています。
なお、名前の似たディエッサーは「サ」行の歯擦音を抑える道具で、リップノイズとは目的が違います。混同して強くかけると、子音だけが痩せた音になりかねません。
かけすぎると、声そのものが変わります。子音が弱まり、こもった印象になってしまいます。
処理は最小限にとどめ、必ず処理前と聴き比べてください。
歌に重なったノイズは、取り切れません。フレーズの合間なら処理できますが、発声と同時に鳴った音を分離することは困難です。
ここが編集の限界にあたる部分で、録音時の対策が重要になる理由です。
弾き語りやナレーションなど場面別の注意点

録るものによって、気をつける点は変わります。自分の用途に近いものを確認してみてください。
弾き語りの一発録りでは、部分的なやり直しができません。歌だけを差し替えることが難しいため、録音前の準備をより丁寧に行う必要があります。
テイクの合間に必ず水を含む運用にしておきましょう。
バラードなど、静かな曲ほど目立ちます。伴奏の音数が少ない箇所では、細かいノイズが前に出てきます。
曲中で最も静かな部分を先に録る方法も、選択肢の一つです。
ささやくような歌い方では、特に増えます。息を多く含む発声はマイクとの距離が近くなりがちで、口の中の音がそのまま入る状態です。
この場合は距離を少し離す対策が効きます。
ナレーションや朗読では、間が長い分だけ目立ちます。文と文の間に何度も鳴ると、聴き手の集中を妨げます。
読む前に口を開けておく習慣が有効です。
ライブ配信では、編集ができません。マイクの角度と距離を事前に決め、手元に水を用意しておきましょう。
配信前に口をゆすいでおくだけでも違いが出ます。
コーラスを重ねる場合は、本数の分だけ増えていく点に注意してください。1本ずつは小さくても、重ねると無視できない量になります。
重ねる前に、各テイクを処理しておくと後が楽になります。
よくある質問
リップノイズとは何の音ですか?
唇や舌が離れるときに鳴る細かい音です。乾いた唇が開く瞬間、舌が上あごから離れる瞬間に、小さな破裂音が生じます。
日常会話では意識されない音量ですが、口から10〜20センチで録音し、コンプレッサーで圧縮すると前に出てきます。
リップノイズを減らす一番効果的な方法は何ですか?
口の乾きを防ぐことです。前日から数時間おきにコップ1杯ずつ水を飲み、部屋を加湿しておきましょう。
録音の数時間前からは乳製品と甘い飲み物をやめ、常温の水に切り替えてください。どちらも口の中の粘りを強めます。
録音中にノイズが増えてきたらどうしますか?
常温の水を少量ずつ口に含んでください。冷たい水は喉を締めやすいため、常温か白湯が向いています。
りんごを一切れ食べる方法も宅録の現場でよく使われます。それでも取れないときは5分ほど休むと状態が戻ることがあります。
マイクの距離はどのくらい離せばよいですか?
15〜20センチが目安です。10センチまで詰めていた場合、5センチ離すだけで細かい音が目立たなくなります。
口の高さより少し上か下にマイクを置いて軸を斜めにすると、息の直撃も避けられます。声が細く感じるぶんは、後から音量で補ってください。
編集でリップノイズは消せますか?
フレーズの合間に鳴ったものは処理できます。波形を拡大すると短い針のような形で見つかるので、その部分の音量を数デシベル下げてください。
完全な無音にすると、その一瞬だけ空気が消えて違和感が出ます。歌に重なったノイズは分離できないため、ここが編集の限界です。
ディエッサーで処理してもよいですか?
目的が違います。ディエッサーは「サ」行の歯擦音を抑える道具で、リップノイズ用ではありません。
混同して強くかけると、子音だけが痩せた音になりかねません。
完全にゼロにする必要はありますか?
ありません。プロの音源にも、よく聴けば残っています。
目指すのは、聴いていて気にならない水準まで減らすことです。処理をかけすぎると声そのものがこもるため、必ず処理前と聴き比べてください。
リップノイズ対策のまとめ

リップノイズの対策について、押さえておきたい点を整理します。
- リップノイズは唇や舌が離れる瞬間の音で、近接録音と圧縮で目立つ
- 完全にゼロを目指さず、気にならない水準まで減らすことを目標にする
- 最大の原因は口の乾きと、唾液が粘つく状態
- 前日から水をこまめにとり、乳製品や甘い飲み物は録音前に避ける
- 部屋を加湿し、唇のケアは前日から行っておく
- その場では常温の水、炭酸水、りんごを少量といった方法が使われる
- マイクの距離を15〜20センチに離し、口の正面を外して立てる
- フレーズの手前で口を開けておくと、歌い出しの音が減る
- 編集では音量を下げる処理から試し、かけすぎに注意する
まずは次の録音で、マイクとの距離を5センチ離し、テイクごとに水を一口含んでみてください。この2つだけでも、聴き返したときの印象が変わります。
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