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仕事

楽曲提供の仕事の始め方!他アーティストへ楽曲を提供する道

楽曲提供の仕事に入る最も一般的な経路は、音楽出版社や作家事務所に所属してコンペに出すことです。非公開のコンペは、所属していないと存在すら分かりません。

採用率は低く、1つの枠に数百曲が集まることも珍しくありません。1曲採用されただけでは生活できず、継続的な採用が前提になる仕事です。

この記事では求められる能力、デモの作り方、4つの入口、コンペ対策、契約と印税、収入の現実までまとめました。

この記事の結論

  • 最も一般的な入り口は、音楽出版社・作家事務所への所属です。非公開のコンペ情報は、所属していないと存在すら分かりません。
  • デモは編曲まで含め、完成形が想像できる状態にしてください。仮歌は必須で、外注するなら1曲あたり数千円から1万円程度かかります。
  • コンペの採用率は低く、1つの枠に数百曲が集まることもあります。数十曲に1曲通れば良いほうと考えるのが現実的です。
  • 要項から外れた曲は、内容が良くても選ばれません。曲調・テンポ・キー・尺の指定を正確に読むのが前提になります。
  • 編曲は著作権の分配対象外とされることが多く、買い切りの報酬として支払われる形が一般的です。
  • 印税が入るまで半年から1年以上かかります。他の収入源を確保しながら並行して取り組む進め方が無理がありません。

楽曲提供の仕事とは

songwriter piano notes composing (Photo: Tima Miroshnichenko / Pexels)

楽曲提供とは、自分以外のアーティストが歌う曲を制作し、その対価を得る仕事です。作詞、作曲、編曲のいずれか、または複数を担当します。

表に出ない仕事である点が、演奏活動との最大の違いです。楽曲がヒットしても、注目されるのは歌うアーティストです。

名前はクレジットに残りますが、一般に知られることは多くありません。

求められるものが違うという点も重要です。自分の表現ではなく、歌うアーティストに合った曲を書く技術が問われます。

具体的には、次のような能力が求められます。

作曲・作詞・編曲のどこを主戦場にするかは、作曲家になるには・作詞家になるには・編曲家になるにはでそれぞれ扱っています。

幅広いジャンルへの対応力が必要です。自分の得意な音楽だけでは、依頼の範囲が限られます。

歌い手の声質を想像する力も欠かせません。同じメロディでも、声によって映え方が変わります。

キーと音域の設計は技術的な要素です。歌い手が最も良く聞こえる音域を把握し、そこにサビを置く判断が求められます。

締切を守る力は、想像以上に重視されます。コンペには締切があり、遅れれば参加すらできません。

大量に書く体力も必要です。採用率は決して高くなく、書き続けられることが前提になります。

デモ音源の作り方

home recording vocal microphone (Photo: Tima Miroshnichenko / Pexels)

楽曲提供の世界では、デモの質が判断材料のすべてです。

完成形が想像できる状態まで作り込む必要があります。ピアノの弾き語りだけでは、採用の判断がつきません。

編曲まで含めて、ある程度の形にしておきましょう。

仮歌が必要になります。自分で歌える場合は自分で、難しい場合は仮歌歌手に依頼します。

仮歌の質が採用に影響することもあるため、軽視できない要素です。

仮歌を外注する場合、費用がかかります。1曲あたり数千円から1万円程度が相場です。

コンペに大量に出す場合、この費用が積み重なります。

尺は指定に従うことが基本です。コンペでは「フルサイズ」「1コーラス」といった指定があります。

指定を外れると、それだけで対象から外されることがあります。

音質は一定水準以上に保ちましょう。宅録でも構いませんが、聴きづらい音質では内容以前の問題になります。

サビから始まる構成が好まれる場合もあります。審査する側は大量のデモを聴くため、序盤で判断されます。

イントロが長いと、最後まで聴かれずに終わりかねません。

ファイル名とデータの整理も意識してください。曲名、作家名を明記し、指定されたフォーマットで提出します。

この基本ができていない応募は、それだけで印象を落とします。

業界への入口

office music business meeting (Photo: Sora Shimazaki / Pexels)

入口は大きく4つあります。性質の違いは次のとおりです。

入口 始め方 向いている段階
音楽出版社・作家事務所 デモ音源を送って審査を受ける 非公開のコンペに出たい段階
コンペ 要項に沿って制作し、締切までに提出する 所属後。数を出せる段階
直接のつながり 同じ地域やインディーズのアーティストに提供する クレジットを1本目から作る段階
マッチングサービス 作家として登録し、募集に応募する 実績がまだ無い段階

音楽出版社・作家事務所に所属する

最も一般的なルートです。作家として所属すると、コンペの情報が回ってくるようになります。

所属するには、デモ音源を送って審査を受けます。事務所によっては、公式サイトに応募窓口が用意されています。

所属のメリットは、コンペ情報へのアクセスです。多くのコンペは非公開で行われ、所属していなければ存在すら知ることができません。

契約内容の確認は慎重に行ってください。著作権の扱い、専属かどうか、契約期間。

特に著作権の持ち分については、内容をよく理解してから署名しましょう。

コンペに参加する

コンペとは、募集要項に沿って複数の作家が曲を出し、その中から採用曲が選ばれる仕組みです。

要項には、対象アーティスト、求める曲調、キー、尺、締切が記載されます。それに沿った曲を制作し、締切までに提出します。

採用率は非常に低いのが実情です。1つの枠に対して数百曲が集まることも珍しくありません。

何十曲出して1曲通れば良いほうと考えたほうが現実的です。

直接のつながりから

同じ地域で活動しているアーティストに提供するところから始める方法もあります。規模は小さくとも、実績としては確実に積み上がります。

インディーズアーティストへの提供であれば、コンペを経ずに直接交渉できます。報酬は少額でも、クレジットが残ること自体に意味のある取引です。

SNSでの発信から声がかかることもあります。制作した楽曲を公開し、「提供曲を書いています」と明示しておくと、探している人の目に留まる可能性があります。

楽曲提供のマッチングサービス

作家とアーティストをつなぐサービスも存在します。実績を作る段階では有効な選択肢です。

コンペで採用されるために

headphones listening analysis desk (Photo: Adventure Studio / Pexels)

数を出すだけでは通りません。いくつかの点を押さえる必要があります。

要項を正確に読むことが第一です。求められている曲調、テンポ、キー、尺。

指定から外れた曲は、内容が良くても選ばれません。

対象アーティストを研究することも欠かせません。過去の楽曲を聴き、声質、得意な音域、これまでの路線を把握します。

そのうえで、期待されている方向と、少し新しい要素を組み合わせるのが定石です。

サビの強さが最も重視されます。審査ではサビだけを聴かれることもあります。

ここに最も力を注ぎましょう。

歌いやすさへの配慮も必要です。理論的に美しいメロディでも、歌いにくければ採用されません。

実際に歌ってみて、無理がないか確認します。

複数曲を出す戦略も有効です。同じコンペに傾向の違う曲を数本出せば、当たる確率が上がります。

落ちた曲を別のコンペに回すことも一般的です。ただし、対象アーティストが変われば求められる要素も変わります。

そのまま出すのではなく、調整して提出しましょう。

フィードバックを求めることも、可能であれば行いたい行動です。所属事務所によっては、落選理由を教えてもらえることがあります。

契約と印税の仕組み

contract paperwork signing (Photo: Thirdman / Pexels)

楽曲が採用されると、契約が発生します。ここは理解しておくべき部分です。

著作権は作詞者・作曲者に発生します。ただし、多くの場合、音楽出版社と契約を結び、著作権の管理を委託します。

印税の種類と仕組みは音楽クリエイターの印税とはで詳しく扱っています。

著作権使用料の分配は、おおまかに次の構造です。楽曲が使用されると、管理団体が使用料を徴収し、音楽出版社を経由して作家に分配されます。

作家の取り分は、契約によって異なります。出版社との取り決めで、作詞・作曲の持ち分がどう配分されるかが決まります。

編曲の扱いは別です。編曲は著作権の分配対象外とされることが多く、買い切りの報酬として支払われる形が一般的です。

採用時の一時金が支払われる場合もあります。金額はケースによって幅があります。

印税が入るまでの時間は長くかかります。楽曲がリリースされ、使用実績が集計され、分配されるまでに半年から1年以上かかることも珍しくありません。

契約書は必ず読むようにしてください。専門的な内容が多く、理解が難しい部分もあります。

判断に迷う場合は、詳しい人に相談することをおすすめします。

収入の現実

calculator finance documents (Photo: RDNE Stock project / Pexels)

期待と実際の差が大きい分野なので、正直に触れておきます。

1曲採用されただけでは生活できません。よほど大きなヒットにならない限り、印税収入は限定的です。

継続的な採用が前提になります。年に何曲も採用される作家になって、はじめて収入として意味を持ちます。

制作費を経費としてどう扱うかは、アーティストが知っておきたい経費一覧にまとめました。

先行投資が必要な面もあります。仮歌の外注費、制作環境の整備、コンペへの参加。

採用される前から費用がかかります。

収入が不安定である点も理解しておきましょう。今年は採用が続いても、翌年はゼロということもあり得ます。

一方で、積み上がる性質もあります。過去に提供した楽曲が使われ続ければ、そこから継続的に収入が入ります。

カラオケ、テレビでの使用、配信。時間とともに増えていく部分です。

現実的な始め方としては、他の収入源を確保しながら並行して取り組む形が無理がありません。演奏活動、レッスン、別の仕事。

生活の基盤を保ちながら、採用実績を積み上げていく進め方です。

演奏活動との両立

musician balancing studio guitar (Photo: Dmitry Demidov / Pexels)

自分でも演奏活動をしている方にとって、両立は可能です。

制作の技術が相互に活きるという利点があります。他人のために曲を書く経験は、自分の作品にも返ってきます。

異なる音域、異なるジャンルで書くことで、引き出しが増えます。

時間の配分は課題です。コンペの締切と、自分のライブやリリースが重なると、どちらも中途半端になりかねません。

年間の計画を立てておくと調整しやすくなります。

名義を分けるかどうかも検討すべき点です。アーティスト名と作家名を分けている人もいれば、同じ名前で活動している人もいます。

方針を決めておきましょう。

実績が相互に効く場面もあります。楽曲提供の実績があるアーティストは、制作能力を評価されます。

逆に、アーティストとしての知名度が、提供の依頼につながることもあります。

どちらか一方に絞る必要はありません。音楽で生きていく手段を複数持つという考え方は、活動を安定させます。

よくある質問

楽曲提供の仕事はどこから始めればよいですか?

最も一般的な入り口は、音楽出版社や作家事務所への所属です。デモ音源を送って審査を受ける形で、公式サイトに応募窓口を設けている事務所もあります。

所属前に実績を作りたい場合は、同じ地域やインディーズのアーティストへの提供、作家向けのマッチングサービスという選択肢もあります。

デモ音源はどこまで作り込む必要がありますか?

編曲まで含めて、完成形が想像できる状態までです。ピアノの弾き語りだけでは採用の判断がつきません。

仮歌も必須です。自分で歌えない場合は仮歌歌手に依頼し、尺はコンペの指定に従ってください。

仮歌の外注費はいくらかかりますか?

1曲あたり数千円から1万円程度が相場です。コンペに大量に出す場合、この費用が積み重なります。

採用される前から費用がかかるため、先行投資として見込んでおく必要があります。

コンペの採用率はどのくらいですか?

1つの枠に対して数百曲が集まることも珍しくありません。何十曲出して1曲通れば良いほうと考えるのが現実的です。

落ちた曲は別のコンペに回せますが、対象アーティストが変われば求められる要素も変わるため、調整してから提出してください。

コンペで何を最も重視されますか?

サビの強さです。審査ではサビだけを聴かれることもあります。

あわせて、要項の曲調・テンポ・キー・尺を正確に守ること、対象アーティストの声質と得意な音域を研究することが前提になります。

編曲も印税の対象になりますか?

編曲は著作権の分配対象外とされることが多く、買い切りの報酬として支払われる形が一般的です。

著作権が発生するのは作詞者と作曲者で、通常は音楽出版社と契約して管理を委託します。

楽曲提供だけで生活できますか?

1曲採用されただけでは生活できません。年に何曲も採用される状態になって、はじめて収入として意味を持ちます。

印税が入るまで半年から1年以上かかることもあるため、演奏活動やレッスンなど他の収入源と並行する形が現実的です。

楽曲提供の仕事の始め方まとめ

piano manuscript warm light (Photo: Ulrick Trappschuh / Pexels)

楽曲提供の仕事の始め方について、押さえておきたいポイントを整理します。

  • 自分の表現ではなく、歌うアーティストに合った曲を書く技術が問われる
  • デモは編曲まで含めて完成形が想像できる状態にする
  • 仮歌は必須。外注する場合は1曲数千円から1万円程度の費用がかかる
  • 音楽出版社や作家事務所に所属すると、非公開のコンペ情報が回ってくる
  • コンペの採用率は非常に低い。数十曲に1曲通れば良いほう
  • 要項を正確に読み、対象アーティストの声質と音域を研究する
  • サビの強さが最も重視される
  • 印税が入るまで半年から1年以上かかる
  • 他の収入源を確保しながら並行して取り組むのが現実的

まずは自分の楽曲を1曲選び、他のアーティストが歌う前提で編曲し直してみてください。その作業自体が、提供曲を書く練習になります。

毎日配信をしても、お客さんは増えない。告知をしても、ライブの客席は空いたまま。新しい曲を作っても、誰にも届かない。

努力はしているのに、ほとんどの人が報われない。それが、多くのアーティストが直面している現実です。

「もっと集客を頑張れ」と言われても、簡単にできたら誰も悩んでいません。結果が出ないのは、才能でも努力不足でもなく、「届ける方法」を知らないだけ です。

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インディペンデントアーティスト編集部

「私たちは音楽を諦めない」というビジョンを掲げ、多様なジャンルのインディペンデントアーティストたちを紹介する オウンドメディアを運営しています。新たな才能を発掘し、アーティストの創造性を全面的に支援することで、 音楽の新しい形を創り出しています。マイクロライブ空間アプリ「コロム」運営。