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アーティストが知っておきたい経費一覧と確定申告の基本

音楽活動の支出は、収入を得るために必要だった分だけ経費として差し引けます。楽器・機材、スタジオ代、交通費、ステージ衣装、宣伝費、通信費、書籍・レッスン費、打ち合わせの飲食費が主な区分です。

線引きの基準は1つだけです。その支出が収入につながる活動に直接関係していることを、領収書とメモで示せる状態にしておくこと。

この記事では経費の考え方、区分ごとの一覧と注意点、管理を続けるための3つの習慣をまとめました。

なお、税務上の判断は個人の状況によって変わります。正確な申告については、税理士や税務署に確認してください。

この記事の結論

  • 経費とは、収入を得るために必要だった支出です。計上すると課税所得が減り、納税額が抑えられます。
  • 判断の基準は、その支出が収入につながる活動に直接関係しているかどうかです。「音楽が好きだから買った」分は含みません。
  • 主な区分は楽器・機材、スタジオ代、交通費、衣装、宣伝費、通信費、書籍・レッスン費、接待交際費の8つに分かれます。
  • 私用と共用しているもの(自家用車、スマートフォン、インターネット回線)は、業務に使った割合だけを按分して計上します。
  • 日常でも着られる衣装は認められにくい項目です。ステージでしか使わないと分かる衣装なら計上しやすくなります。
  • 領収書とあわせて「誰と、何の目的で」のメモを残してください。活動用の口座やカードを分けると、整理の手間が減ります。

経費として計上できるとはどういうことか

music studio recording (Photo: cottonbro studio / Pexels)

確定申告において「経費」とは、収入を得るために必要だった支出のことを指します。

事業所得や雑所得として音楽活動の収入を申告する場合、関連する支出を経費として差し引くことができます。その結果として課税所得が減り、納税額が抑えられる仕組みです。

ただし、「音楽が好きだから買った」という個人的な支出と、「音楽活動のために必要だった」という業務上の支出はきちんと区別する必要があります。経費として認められるかどうかは、その支出が収入につながる活動に直接関係しているかどうかが基準のひとつとなります。

レシートや領収書の保管も重要です。支払いの記録を日ごろからきちんと残しておく習慣をつけておくとよいでしょう。

申告そのものの手順はアーティストの確定申告の基礎で扱っています。税の仕組み全体は音楽活動の税金の基礎知識が入口です。

収入側の全体像を先に把握したい方には、インディーズアーティストの収入源7選が参考になります。

アーティストが計上できる経費の一覧

区分ごとの具体例と注意点を、先に一覧で並べます。

区分 具体例 注意点
楽器・機材・消耗品 楽器本体、エフェクター、マイク、DAW、弦・リード 高額なものは減価償却の対象になる場合がある
場所の使用料 練習スタジオ、レコーディングスタジオ、ライブハウス出演費 収入につながる活動と結びつけて記録する
交通費・宿泊費 電車・新幹線、遠征の宿泊、ガソリン代・高速代 自家用車は業務に使った割合のみ
衣装・ヘアメイク ステージ衣装、撮影用のヘアメイク、クリーニング 日常でも着られるものは認められにくい
宣伝・デザイン フライヤー印刷、SNS広告、サイト制作、ロゴ、写真撮影 自分で行った分も記録を残す
通信費・サブスク 制作ソフトの月額、配信サービス、通信費、ストレージ 私用と共用なら按分する
書籍・レッスン 教則本、音楽理論の書籍、ワークショップ受講料 現在の活動の維持・向上が目的なら計上しやすい
接待交際費 打ち合わせや活動に関する交流の飲食 誰と何の目的で会ったかを記録する

musician equipment setup (Photo: Soudha J. / Pexels)

楽器・機材・消耗品

演奏や制作に使う道具は、代表的な経費のひとつです。

– 楽器本体(ギター、キーボード、管楽器など) – エフェクター、アンプ、スピーカー – マイクやオーディオインターフェース – レコーディング用ソフトウェア(DAWなど) – 弦、リード、バチ、電池などの消耗品

楽器本体のように高額なものは、金額によって一度に全額を経費にするのではなく、複数年にわたって分割して計上する「減価償却」が必要になる場合があります。購入金額と耐用年数を確認しておくとよいでしょう。


スタジオ・リハーサル・録音にかかる費用

音楽活動に伴う場所の使用料も経費として認められやすい支出です。

– 練習スタジオのレンタル費用 – レコーディングスタジオの使用料 – ライブハウスの出演費・会場費 – 音源制作やMIXを外部に依頼した費用

自主企画ライブのために会場を借りた費用や、スタジオでのリハーサル代は、収入を得るための活動に直結するため計上しやすい項目です。


交通費・宿泊費

ライブや収録、打ち合わせのための移動にかかる費用も対象になります。

– 電車・バス・新幹線などの交通費 – 遠征時の宿泊費 – 車で移動した場合のガソリン代・高速代・駐車場代

ただし、自家用車を私的な用途にも使っている場合は、業務に使った割合のみを経費として計上するのが原則です。移動の記録(いつ、どこへ、何の目的で)を残しておくと整理しやすくなります。


衣装・ヘアメイク・スタイリング

ライブや撮影のための衣装や美容代も、条件によっては経費になります。

– ステージ衣装の購入費 – ライブ・撮影用のヘアメイク費 – 衣装のクリーニング代

ここで注意したいのは、「日常生活でも着られるもの」は経費として認めてもらいにくい場合があるという点です。ステージでしか使わない特殊な衣装や、明らかにパフォーマンス用とわかる衣装であれば、経費として計上しやすくなります。

衣装の選び方そのものはライブ衣装の選び方にまとめました。


宣伝・広告・デザイン費

活動を広めるためにかかった費用も対象です。

– フライヤー・チラシの印刷費 – ライブ告知のための広告費(SNS広告など) – ウェブサイトの制作・維持費 – ジャケットやロゴのデザイン依頼費 – 写真撮影(アーティスト写真など)の費用

インディペンデントアーティストとして活動する場合、宣伝は自分で行うことが多いため、宣伝まわりの支出を見落とさずに記録しておくことが大切です。

フライヤーを自分で作る手順はライブフライヤーの作り方で解説しています。


通信費・サブスクリプション

音楽活動のために使っているオンラインサービスや通信費も計上の対象になりえます。

– 音楽制作ソフトのサブスクリプション料 – 楽譜・音源配信サービスの利用料 – 活動に使うスマートフォンやPCの通信費(業務使用分) – オンラインストレージの利用料

スマートフォンやインターネット回線は私的にも使っている場合が多いため、業務使用の割合を按分(あんぶん)して計上するのが一般的です。


書籍・教材・レッスン費

スキルアップのためにかかった費用も、一定の条件で経費になります。

– 楽譜・教則本の購入費 – 音楽理論や語学などの書籍 – 個人レッスン・ワークショップの受講料

「現在の活動水準を維持・向上させるための学習」は経費として認められやすい傾向があります。一方で、まったく新しい職種に転職するための学習費は認められにくいとされています。


打ち合わせや交流にかかる飲食費

関係者との打ち合わせや、活動に関する交流にかかった飲食費は「接待交際費」として計上できる場合があります。

ただし、すべての飲み会が対象になるわけではありません。「誰と、何の目的で」会ったかを記録しておくことが、後から整理するうえで役立ちます。

経費を管理するための3つの習慣

artist workspace desk (Photo: Letícia Alvares / Pexels)

領収書・レシートをすぐに保管する

支払いのたびに領収書やレシートを受け取り、一か所にまとめておきましょう。デジタル管理する場合は、スマートフォンで撮影してフォルダ分けするだけでも十分です。


用途をメモしておく

領収書があっても、後から「これは何の支出だったか」がわからなくなることがあります。購入した日に簡単なメモ(「〇〇のリハ用スタジオ代」など)を残しておくと、整理するときにスムーズです。


家計(プライベート)と活動費を分ける

可能であれば、音楽活動用の口座やクレジットカードを別に用意するのがおすすめです。収支の把握が楽になり、確定申告の作業も短縮できます。

請求書まわりの扱いはインボイス制度と音楽家の基本知識も確認しておきましょう。

よくある質問

楽器の購入費は全額その年の経費にできますか?

金額によって扱いが変わります。高額な楽器は一度に全額を計上せず、複数年に分けて計上する減価償却の対象になる場合があります。

購入金額と耐用年数を確認してください。判断に迷う金額なら、税務署か税理士に確認するのが確実です。

ステージ衣装は経費になりますか?

ステージでしか使わない特殊な衣装や、明らかにパフォーマンス用と分かる衣装なら計上しやすい項目です。衣装のクリーニング代も同じ扱いになります。

一方で、日常生活でも着られる服は認められにくいとされています。撮影やライブで使った記録を残しておきましょう。

自家用車のガソリン代はどう計上しますか?

私的な用途にも使っている場合、業務に使った割合のみを経費にするのが原則です。ガソリン代、高速代、駐車場代が対象になります。

いつ、どこへ、何の目的で移動したかを記録してください。記録があると、割合の説明がしやすくなります。

スマートフォンや通信費は経費にできますか?

業務使用分を按分して計上するのが一般的です。音楽活動のために使っているサブスクリプションやオンラインストレージも、同じ考え方で扱います。

私用と完全に分けたいなら、活動専用の回線や端末を用意する方法もあります。

レッスン代や教則本は経費になりますか?

現在の活動水準を維持・向上させるための学習は、経費として認められやすい区分です。該当するのは教則本、音楽理論の書籍、ワークショップの受講料です。

一方で、まったく新しい職種に転職するための学習費は、認められにくいとされる扱いです。

打ち合わせの飲食費はどこまで入れられますか?

関係者との打ち合わせや、活動に関する交流にかかった飲食費は、接待交際費として計上できる場合があります。

ただし、すべての飲み会が対象になるわけではありません。「誰と、何の目的で」会ったかを必ず記録してください。

領収書をなくしてしまった場合はどうすればよいですか?

支出の内容・日付・金額・相手先が分かる記録を残しておきます。クレジットカードの明細や交通系ICカードの履歴も手がかりになります。

ただし原則は領収書の保管です。支払いのたびに受け取り、一か所にまとめる習慣を作っておきましょう。

アーティストの経費と確定申告のまとめ

アーティストが計上できる主な経費をまとめると、次のようになります。

– 楽器・機材・消耗品 – スタジオ・レコーディング・ライブ会場費 – 交通費・宿泊費 – 衣装・ヘアメイク費 – 宣伝・デザイン費 – 通信費・サブスクリプション – 書籍・レッスン費 – 打ち合わせ飲食費(接待交際費)

経費の計上は「節約」ではなく、正確な所得を申告するための正当な手続きです。日ごろから記録を残す習慣をつけることで、確定申告の負担を大きく減らすことができます。

税務上の取り扱いは個人の状況によって異なりますので、不明な点は税理士や税務署に確認するようにしてください。

毎日配信をしても、お客さんは増えない。告知をしても、ライブの客席は空いたまま。新しい曲を作っても、誰にも届かない。

努力はしているのに、ほとんどの人が報われない。それが、多くのアーティストが直面している現実です。

「もっと集客を頑張れ」と言われても、簡単にできたら誰も悩んでいません。結果が出ないのは、才能でも努力不足でもなく、「届ける方法」を知らないだけ です。

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インディペンデントアーティスト編集部

「私たちは音楽を諦めない」というビジョンを掲げ、多様なジャンルのインディペンデントアーティストたちを紹介する オウンドメディアを運営しています。新たな才能を発掘し、アーティストの創造性を全面的に支援することで、 音楽の新しい形を創り出しています。マイクロライブ空間アプリ「コロム」運営。