音大卒チェリストが見つけた、子育ても演奏も諦めないための選択
2026/08/27(更新 2026/10/01)
音大卒のチェリスト・はるなさんが選んだのは、「辞める」ことではなく**「続けられる形を探す」**ことでした。子育てが始まって以前のように演奏の仕事へ行けなくなったとき、仕事量を減らし、クラシックとオーケストラという軸に絞り直したのです。
もうひとつの変化が、毎日配信から一回のコンサートを大切にするスタイルへの移行でした。時間に追われる日々から抜け出したことで、セットリストを考え、ライブの世界観を作り込む余裕が生まれています。
この記事では、チェロとの出会いから音大での挫折、子育てを機にした活動の組み直し、オンラインライブとの出会いまでを追いました。
この記事の結論
- はるなさんは10歳でチェロに出会い、1年間毎日練習を続けて両親の反対を覆しました。
- 音大では1日10時間以上練習室にこもる日々。大学1年後期の試験では、楽器を壊して実家へ帰ろうとまで思い詰めています。
- 卒業後は音楽教室の講師や演奏依頼を引き受け、「音楽で稼ぐ」ことに必死だったといいます。
- 転機は子どもの誕生。辞める選択肢は取らず、仕事量を減らして軸になる活動に集中しました。
- 毎日配信のサービスで7年間活動したのち、一回のコンサートを大切にするスタイルへ移行しています。
- ファンは「増えて、減って、また増える」もの。7年間応援し続けてくれる人もいます。
- 3歳の娘さんはチェロを弾く姿を見るのが好きで、演奏活動は子どもへ背中を見せる時間にもなっています。
チェロとの出会いが、演奏家への第一歩になった
はるなさんがチェロと出会ったのは10歳の頃。
ピアノに行き詰まりを感じていた時、先生が趣味で弾いていたチェロに一目惚れしました。しかし、弦楽器は費用もかかることから、最初は両親に反対されます。
それでも諦められず、1年間毎日練習を続け、その熱意が認められて本格的にチェロを始めました。
中学生ではジュニアオーケストラに所属し、全国の子どもたちと演奏する経験も重ねます。その楽しさが「もっと音楽を続けたい」という思いにつながり、高校2年の秋、音大を目指すことを決意しました。
受験を決めてからは週3回のレッスンに加え、東京まで通って指導を受ける日々。努力を重ね、念願だった音楽大学へ進学します。

音大で味わった挫折。「音楽で生きる」現実の厳しさ
音楽大学では、周囲の学生たちの高いレベルに圧倒されながらも、1日10時間以上練習室にこもる毎日を送りました。 将来は海外オーケストラへの入団やレコーディング、サポート演奏など、演奏家として幅広く活躍したいという夢も描いていました。
しかし、常に順調だったわけではありません。 特に忘れられないのが、大学1年後期の試験です。
一人で演奏するバッハの無伴奏作品に向き合う日々は精神的にも追い込まれ、「楽器を外に投げて壊して、そのまま実家へ帰ろうと思った」と振り返るほどでした。 周囲と比べて落ち込み、「なんでこんなに下手なんだろう」と自分を責め続けた時期でもあります。
それでも音楽を辞めることはありませんでした。
卒業後は、音楽教室の講師や演奏依頼など、あらゆる仕事を引き受けながら「音楽で稼ぐ」ことに必死だったといいます。
「音楽だけで食べていくことの大変さは、実際にやってみないと分からなかった。」
理想と現実のギャップに悩みながらも、演奏家として歩み続けた経験が、現在の活動につながっています。

子育てをきっかけに見つめ直した、自分らしい音楽活動
転機になったのは、お子さんの誕生でした。
子育てが始まると、以前のように自由に演奏の仕事へ行くことは難しくなります。 だからといって、音楽を辞める選択肢はありませんでした。
「辞めたら、自分が自分じゃなくなる気がした。」
そう感じたはるなさんは、自分が本当に続けたい演奏について考え、仕事量を減らす決断をします。 イベント演奏をすべて受けるのではなく、長年続けてきたクラシックやオーケストラを軸に再構築。
限られた時間だからこそ、自分が大切にしたい音楽活動へ集中するようになりました。
家族との向き合い方は音楽活動を家族に理解してもらうには?で扱っています。

オンラインライブとの出会いで、ファンとの時間が変わった
実は、はるなさんは2019年からライブ配信を続けていました。 毎日配信を行うサービスで7年間活動し、数えきれないほどのリスナーとの出会いがありましたが、一方で時間に追われる毎日でもありました。
そんな中で出会ったのが、オンラインライブプラットフォーム「corom」です。
「毎日配信しなければ」という生活から、「一回のコンサートを大切にする」スタイルへ。
その変化によって、自分の時間が増えただけでなく、一回一回のライブ準備にも時間をかけられるようになりました。
セットリストを考え、ライブ全体の世界観を作り込む。 以前よりも、音楽にもファンにも丁寧に向き合えるようになったと言います。
毎日配信と、月に数回のオンラインライブ。はるなさんにとっての違いは、次のところにありました。
| 毎日配信 | 一回のコンサートを大切にするスタイル | |
|---|---|---|
| 頻度 | 毎日 | 回数を絞る |
| 準備にかけられる時間 | ほとんど取れない | セットリストと世界観を作り込める |
| 自分の時間 | 時間に追われる | 子育てと両立できる |
| ファンとの関わり | 接触の回数は多い | 一回あたりの密度が上がる |
少人数で開く形の作り方はマイクロライブの始め方、集客の考え方はオンラインライブの集客方法にまとめています。

焦らないファンづくりが、長く応援される理由
オンラインライブを始めたからといって、急激にファンが増えたわけではありません。
「増えて、減って、また増える。それが現実。」
そう話すはるなさんですが、7年間応援し続けてくれるファンも数多くいます。
結婚や出産を機に離れていった人もいました。 それでも、「楽しみにしてくれる人が一人でもいるなら、その人のために演奏したい」という思いが活動の原動力になっています。
また、新しいファンづくりについての考え方も、肩の力が抜けています。 「来てください」と強く勧めるのではなく、まずは無料配信で知ってもらい、興味を持ったタイミングでチケットを買ってもらえたら嬉しい。
無理な集客ではなく、少しずつ信頼を積み重ねる。 その姿勢こそが、長く愛されるファンづくりにつながっています。
音楽で稼ぐだけではない。「続けられる」が何よりの価値になった
coromでの活動を始めて最も大きく変わったことを聞くと、はるなさんは迷わず「時間」と答えました。
時間に追われる毎日から解放され、一つひとつのオンラインライブへしっかり向き合えるようになったことで、演奏の質も、ライブの満足度も高まったと実感しています。
以前は毎日の配信に追われていましたが、今ではセットリストや演出をじっくり考え、「どうすればもっと楽しんでもらえるか」を一つひとつ形にできるようになりました。
また、アーカイブ機能によって、ファンが好きなタイミングで演奏を楽しめるようになったことも大きな変化でした。
もちろん、チケットを購入してもらう難しさはあります。 それでも、はるなさんは「自分の演奏にはそれだけの価値がある」と信じ、その価値を届けることに誇りを持っています。 そして、その先にある目標は、売上や集客だけではありません。
「一生、技術の向上です。」
何十年とチェロを弾き続けてきた今も、「昨日より今日、今日より明日」と少しでも成長できるよう、自分の音楽と向き合い続けています。 その積み重ねが、お客さんに「今日は楽しかった」「いい時間だった」と感じてもらえる演奏につながると信じているからです。
音楽で稼ぐことはもちろん大切。しかし、それ以上に「もっといい演奏を届けたい」という思いが、今も変わらずはるなさんの原動力になっています。

チェリストはるなさんへのよくある質問
なぜチェロを始めたのですか?
10歳のとき、ピアノに行き詰まりを感じていた時期に、先生が趣味で弾いていたチェロに一目惚れしたことがきっかけです。弦楽器は費用がかかることから両親には反対されましたが、1年間毎日練習を続け、その熱意が認められて本格的に始めました。
音大ではどんな日々でしたか?
1日10時間以上、練習室にこもる毎日でした。大学1年後期の試験でバッハの無伴奏作品に向き合った時期は精神的にも追い込まれ、「楽器を外に投げて壊して、そのまま実家へ帰ろうと思った」と振り返っています。
子育てが始まってからどう変えましたか?
辞める選択肢は取らず、仕事量を減らしました。イベント演奏をすべて受けるのではなく、長年続けてきたクラシックやオーケストラを軸に再構築し、限られた時間を本当に続けたい活動へ集中させています。
オンラインライブで何が変わりましたか?
「毎日配信しなければ」という生活から、「一回のコンサートを大切にする」スタイルへ変わりました。自分の時間が増えただけでなく、セットリストを考え、ライブ全体の世界観を作り込む余裕も生まれています。
ファンは増えましたか?
急に増えたわけではありません。「増えて、減って、また増える。それが現実」と話しています。
結婚や出産を機に離れていった人もいる一方で、7年間応援し続けてくれるファンもいます。
音楽を続ける原動力は何ですか?
「もっといい演奏を届けたい」という思いです。音楽で稼ぐことも大切だとしたうえで、お客さんに「今日は楽しかった」「いい時間だった」と感じてもらえる演奏につながると信じて、積み重ねを続けています。
同じように悩む演奏家へのメッセージは?
「自分は向いていないかも、と自分で可能性を狭めないでほしい。一度のぞいてみようかな、くらいでもいいんです」。やってみる前から諦める必要はない、という言葉です。
「自分には無理」と決めつけないでほしい
最後に、同じように悩む演奏家へ、はるなさんはこんな言葉を送ってくれました。
「自分は向いていないかも、と自分で可能性を狭めないでほしい。一度のぞいてみようかな、くらいでもいいんです。」
やってみる前から諦める必要はありません。 子育て中でも、仕事をしながらでも、ブランクがあっても、オンラインライブという選択肢があれば、自分のペースで音楽を続けることができます。
同じようにライフステージの変化と向き合った人の話は、「主婦」のまま終わりたくなかった─弾き語りシンガーの選んだ道、奇跡の61歳ロックボーカリストが、一度離れた歌を取り戻すまでにもあります。
そして、音楽を続ける意味は、自分自身のためだけではないと、はるなさんは話します。 現在3歳になる娘さんは、お母さんがチェロを弾く姿を見るのが大好き。「Let It Goを弾いて」とリクエストすることも多いそうです。
「楽器を弾いているママがかっこいいって思ってくれたら嬉しい。」
そう語るはるなさんにとって、演奏活動は仕事であると同時に、子どもへ背中を見せる時間でもあります。 好きなことを諦めずに挑戦し続ける姿は、きっと娘さんにとっても、大切な記憶になっていくのでしょう。
「音楽を辞める」のではなく、「続けられる形を探す」。
はるなさんの歩みは、ライフステージが変わっても、音楽とともに生きる道はあることを教えてくれます。
毎日配信をしても、お客さんは増えない。告知をしても、ライブの客席は空いたまま。新しい曲を作っても、誰にも届かない。
努力はしているのに、ほとんどの人が報われない。それが、多くのアーティストが直面している現実です。
「もっと集客を頑張れ」と言われても、簡単にできたら誰も悩んでいません。結果が出ないのは、才能でも努力不足でもなく、「届ける方法」を知らないだけ です。
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昇給を待つより、今の環境を変えるほうが早い。仕事があっても、地方に住んでいても、音楽を諦める必要はありません。
まずは、環境を変えることから。想像を超えるアーティスト生活を、コロムから始めてください。
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インディペンデントアーティスト編集部
「私たちは音楽を諦めない」というビジョンを掲げ、多様なジャンルのインディペンデントアーティストたちを紹介する オウンドメディアを運営しています。新たな才能を発掘し、アーティストの創造性を全面的に支援することで、 音楽の新しい形を創り出しています。マイクロライブ空間アプリ「コロム」運営。
