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音楽プレスリリースの書き方!メディアに取り上げられる文章術

新曲を出したことをSNSで告知したものの、届いたのはいつも見てくれている数十人だけ。そんな手応えのなさを感じたことはないでしょうか。

音楽メディアやラジオに取り上げてもらえれば、まだ自分を知らない人にも届きます。その入り口になるのがプレスリリースですが、書き方を教わる機会はほとんどありません。

そこで本記事では、音楽プレスリリースの書き方を、誰に向けて書くのかという前提から、ニュースの核の見つけ方、件名と本文の組み立て、送り先の選び方とその後のフォローアップまで順を追って解説します。


プレスリリースは誰に向けた文章なのか

editor reading emails (Photo: alleksana / Pexels)

最初に押さえておきたいのは、プレスリリースはファンに向けた文章ではないという点です。読む相手は、メディアの編集者やライター、ラジオの制作スタッフです。

その人たちは、毎日大量のメールを受け取っています。1通あたりに割かれる時間は、驚くほど短いと考えておいたほうがよいでしょう。

だからこそ、SNSの投稿と同じ書き方では届きません。SNSでは気持ちを伝えることが有効ですが、プレスリリースで求められるのは記事にできる材料が揃っているかどうかです。

編集者が知りたいのは、たとえば次のようなことです。

  • いつ、何が起きるのか
  • それは読者にとって新しいのか
  • 記事にするだけの素材(写真や音源)が揃っているのか
  • すぐに連絡が取れるのか

この4つに即答できる文章になっていれば、それだけで多くのリリースより読まれやすくなります。

もうひとつ意識したいのが、相手の仕事を減らすという視点です。編集者は限られた時間の中で記事を作っています。事実が整理され、画像がすぐ使える状態で届けば、扱いやすい案件として優先されやすくなります。

逆に、リンクが切れている、写真の解像度が足りない、いつのことなのか分からない。こうした小さな不備が重なると、内容が良くても後回しにされてしまいます。

熱意を伝えたい気持ちはよく分かります。ただしプレスリリースでは、熱意は事実の精度で示すと考えてみてください。

取り上げられる「ニュースの核」を見つける

notebook pen brainstorming (Photo: Leeloo The First / Pexels)

メディアが記事にするのは、新しい出来事です。「良い曲ができました」だけでは、残念ながらニュースになりません。

まず、自分の活動の中から日付が付くものを探してみましょう。日付が付く出来事は、それだけでニュースの形をしています。

  • 新曲や新アルバムのリリース
  • ミュージックビデオの公開
  • ワンマンライブやツアーの開催
  • イベントへの出演決定
  • タイアップや他アーティストとの共作

ここまでは誰でも思いつく材料です。差が付くのは、そこに「なぜ今、これが珍しいのか」を一言添えられるかという部分にあります。

たとえば同じ新曲リリースでも、「地元の高校の吹奏楽部と共作した」「録音を廃校の体育館で行った」といった要素があると、記事の切り口が生まれます。編集者は、見出しにできる一点を探しながら読んでいます。

自分では当たり前だと思っていることが、外から見ると珍しい場合もあります。別の仕事を続けながら制作していること特定の地域に根ざして活動していることなども、切り口になり得ます。

見つけ方のコツは、「この話を初対面の人に30秒で話すとしたら、どこから話すか」と考えてみることです。そこで最初に口をついて出る一点が、ニュースの核である場合がほとんどです。

ただし、盛りすぎには注意してください。事実を大きく見せる書き方は、一度でも見抜かれると次から読まれなくなります。数字を使う場合は、確認できる範囲のものだけを使いましょう。

開封される件名とタイトルの作り方

laptop inbox screen (Photo: cottonbro studio / Pexels)

どれだけ中身が良くても、件名で開かれなければ存在しないのと同じです。メールの一覧に並んだ状態で、どう見えるかを想像してみてください。

件名に入れたい要素は3つあります。

  • アーティスト名
  • 何が起きるのか
  • いつなのか

たとえば「【リリース情報】〇〇、10月15日に1stアルバム『△△』を発表」といった形です。装飾は要りません。事実だけで構成されているほうが、業務メールとして扱われやすくなります

避けたいのは、「ぜひご覧ください」「お世話になっております」だけで始まる件名です。内容が分からないまま後回しにされ、そのまま埋もれてしまいます。

感嘆符の多用や煽り文句も逆効果です。宣伝のトーンが強いほど、読み飛ばされる確率は上がります

本文の冒頭に置くタイトルも、考え方は同じです。ここでは件名より少し情報を足し、記事の見出しとしてそのまま使えるくらいの完成度を目指しましょう。

タイトルの下に、リード文を2、3行置くと親切です。ここで「誰が」「いつ」「何を」「どこで」を一気に伝えます。編集者はこの数行で扱うかどうかを判断することが多いためです。

文字数の目安として、タイトルは30字前後、リードは150字前後に収まると読みやすくなります。長くなりそうなときは、修飾語から削ると芯が残ります。

本文は逆三角形で組み立てる

writing document desk (Photo: Михаил Крамор / Pexels)

プレスリリースの本文は、重要な情報から順に並べるのが基本です。上から読んで、途中でやめても要点が伝わる状態を目指します。

最初のブロックで事実を伝える

冒頭では、5W1Hを簡潔に示します。誰が、いつ、どこで、何を、なぜ行うのか。ここに主観的な形容詞は入れません

「渾身の」「待望の」といった言葉は、書き手の評価であって事実ではありません。評価はメディア側が下すもの、と割り切ったほうが信頼されます。

中盤で背景と切り口を書く

続いて、その出来事の背景を説明します。制作のきっかけ、テーマ、参加したメンバー。記事の中身になる材料を、ここに置きます。

このブロックには、本人のコメントを1つ入れると厚みが出ます。鍵括弧で括った2、3行のコメントは、そのまま記事に引用されやすい素材になります。

「今回の曲は、上京せずに地元で続けてきた5年間を書きました」といった具合に、具体的な状況が伝わる言葉を選んでください。抽象的な意気込みは引用されにくくなります。

最後に事務的な情報を置く

末尾には、記事を書くために必要な情報をまとめます。

  • リリース日と配信先、価格
  • ライブの日程、会場、開演時刻、チケット情報
  • 公式サイトとSNSのURL
  • 問い合わせ先(担当者名、メールアドレス、電話番号)

問い合わせ先は必ず入れてください。連絡が取れないリリースは、それだけで検討から外れます

全体の分量は、A4用紙1枚から2枚に収まる程度が目安です。長くなるほど読まれる確率は下がると考えておきましょう。

添える素材が採否を分ける

camera photos musician portrait (Photo: Marius  Gabriel / Pexels)

文章が整っていても、使える写真がなければ記事になりません。実は、この素材の準備が採否を大きく左右します。

用意しておきたいのは次の3種類です。

  • アーティスト写真(縦位置と横位置の両方)
  • ジャケットやフライヤーの画像
  • 音源、またはミュージックビデオのリンク

アーティスト写真は、背景が整理されたものを選びましょう。ライブ中の写真は雰囲気が出ますが、暗すぎたり被写体が小さかったりすると使えません。

解像度も重要です。ウェブ用でも、長辺で1,500ピクセル以上あると安心といわれます。SNSに上げた画像をそのまま送ると、圧縮されて使えないことがあるため注意してください。

音源を送る場合は、メールに直接添付しないのが基本です。容量の大きいファイルは受信を拒否されることがあります。クラウドストレージの共有リンクを使いましょう。

そのリンクには、十分に長い有効期限を設定してください。編集者が数日後に開いたときに切れていると、そこで話が止まります。

写真のクレジット表記も添えておきましょう。「Photo by 〇〇」のように明記しておけば、掲載時の確認作業が減ります。

権利関係も整理が必要です。共同で制作した楽曲やジャケットについて、掲載してよい範囲を関係者と確認しておくと、後のやり取りがスムーズになります。判断に迷う場合は、事前に確認を取っておきましょう。

送り先の選び方とリストの作り方

spreadsheet list laptop (Photo: RDNE Stock project / Pexels)

プレスリリースは、数を撒けば当たるものではありません。関係のないメディアに一斉送信すると、次回から読まれなくなる可能性すらあります。

考え方はシンプルで、自分の音楽を扱っている媒体だけに送ることです。まずは次の3つの方向から探してみましょう。

  • 自分と近いジャンルのアーティストを取り上げている音楽メディア
  • 活動地域のフリーペーパー、地方紙、コミュニティFM
  • 出演イベントや所属レーベルと関わりのある媒体

探し方としては、自分と近い規模のアーティスト名で検索するのが手っ取り早い方法です。どの媒体が取り上げているかが具体的に見えてきます。

見つけた媒体は、表計算ソフトなどで一覧にしておきましょう。記録しておきたい項目は次のとおりです。

  • 媒体名と送付先アドレス
  • 担当者名(分かる場合)
  • 扱っているジャンルや特徴
  • 送った日付とその後の反応

このリストは、一度作れば次のリリースでも使えます。回を重ねるごとに精度が上がる資産になります。

送信は、可能なかぎり1通ずつ個別に送ってください。宛先を並べた一斉送信は、受け取る側にすぐ分かります。

冒頭に「〇〇編集部 御中」と入れる、その媒体の記事に触れた一文を添える。そのひと手間があるかどうかで、読まれ方は変わります。

地方のコミュニティFMや地元紙は、地域で活動する人の情報を歓迎してくれることが多い媒体です。全国区のメディアだけを狙わず、近いところから始めるほうが結果につながりやすいでしょう。

送るタイミングとフォローアップの作法

calendar clock desk (Photo: Fauzan Fitria / Pexels)

リリースを送る時期は、発表日の2週間から1か月前が一般的な目安とされています。編集の現場では、数週間先の企画を先に固めていることが多いためです。

前日や当日に送っても、記事を作る時間が残っていません。ライブの告知であれば、チケットが売れる余地がある時期に届くことが前提になります。

曜日と時間帯にも配慮しましょう。月曜の朝と金曜の夕方は、メールが溜まりやすい時間帯です。火曜から木曜の午前中あたりが、比較的読まれやすいといわれています。

情報が段階的に出る場合は、分けて送るという考え方もあります。

  • 第1報:リリース決定と日程
  • 第2報:ジャケットと収録曲の公開
  • 第3報:ミュージックビデオの公開

ただし、送りすぎは逆効果です。中身が更新されていない連絡を繰り返さないことを基本にしましょう。

返信が来ないことは珍しくありません。全件に返信する慣習がない現場も多いためです。

フォローアップの連絡を入れる場合は、送付から1週間ほど空けて1回だけにとどめます。「先日お送りした件、ご不明な点がありましたらお気軽にご連絡ください」という程度の、短い文面が適切です。

催促の印象を与える書き方は避けてください。返信を求めるのではなく、追加の情報を提供するという姿勢が、次につながります。

取り上げてもらえた場合は、必ずお礼を伝えましょう。記事をSNSで紹介し、感謝を一言添える。この積み重ねが、次のリリースを読んでもらえる関係を作っていきます。

まとめ

newspaper coffee morning table (Photo: cottonbro studio / Pexels)

音楽プレスリリースの書き方について、押さえておきたいポイントを整理します。

  • 読む相手はファンではなく、時間のない編集者だと考える
  • 日付が付く出来事に「なぜ今これが珍しいのか」を一言添える
  • 件名はアーティスト名、何が起きるか、いつなのかの3点で構成する
  • 本文は逆三角形で、重要な事実から順に並べる
  • 「渾身の」「待望の」といった主観的な形容詞は使わない
  • 本人コメントは、具体的な状況が伝わる言葉を鍵括弧で置く
  • アーティスト写真と音源リンクを用意し、リンクの有効期限は長く設定する
  • 送り先は自分の音楽を扱う媒体に絞り、1通ずつ個別に送る
  • 発表の2週間から1か月前に送り、フォローアップは1週間後に1回だけ

まずは、次に控えている出来事を1つ選んで、件名だけを書いてみてください。アーティスト名と内容と日付が30字前後に収まるかを試すと、自分の活動の核がどこにあるかが見えてきます。


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