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ライブハウス

ライブハウスの音響打ち合わせ!当日に慌てないための準備を解説

はじめてライブハウスに出演したとき、リハーサルで何を言えばいいのかわからず、黙ったまま時間が過ぎてしまった。そんな経験を持つ方は少なくありません。

本番が始まってから、自分の声が全く聞こえないことに気づく。返ってくるのはギターの音ばかりで、歌のピッチが取れないまま1曲目が終わる。

その多くは、音響の打ち合わせで防げるものです。そこで本記事では、ライブハウスの音響打ち合わせについて、事前の準備から当日の伝え方までを順を追って解説します。


音響の打ち合わせは何のために行うのか

live house stage lights (Photo: Caleb Oquendo / Pexels)

まず、この時間が何を決める場なのかを理解しておきましょう。打ち合わせは、演奏を客席に届けるための設計図を共有する場です。

ライブハウスの音響担当者、いわゆるPAは、あなたの音楽を初めて聴く立場にいます。どんな編成で、どの楽器が主役で、どんな質感を目指しているのか。伝えなければ、知りようがありません。

打ち合わせで決まるのは、大きく2つです。客席に出る音と、演奏者が聴くモニターの音、この2系統をどう作るかが中心になります。

客席側の音は、最終的にはPAの判断で作られます。会場の特性を知っているのは彼らですので、細かな調整は任せるのが基本です。

モニター側の音は、演奏者本人にしかわかりません。何が聞こえていないのか、何が大きすぎるのかは、口に出さなければ伝わらない情報です。ここを遠慮することが、本番の失敗に直結します。

打ち合わせは、うまく演奏するためではなく、うまく演奏できる状態を作るための時間です。要望を伝えることは、わがままではありません。むしろ、伝えてもらったほうが仕事がしやすいと考えるPAがほとんどです。

事前に準備しておくもの

handwritten notes clipboard (Photo: Tima Miroshnichenko / Pexels)

当日その場で考えると、必ず時間が足りなくなります。紙に書いて持っていくだけで、進行が驚くほどスムーズになります。

準備しておきたいのは、次の3点です。

インプットリストは、どの音をどれだけPAに送るかを一覧にしたものです。ボーカル、ギター、キーボードといった音源を番号順に並べ、それぞれの接続方法を書き添えます。

ステージ図は、誰がどこに立つかを示した簡単な見取り図です。手書きで構いません。立ち位置とアンプの場所、モニタースピーカーの希望位置が分かれば十分に役立ちます。

セットリストと転換の情報も添えておきましょう。曲順に加えて、曲間のMCの長さ、途中で楽器を持ち替えるかどうかを書いておくと、進行の見通しが立ちます。

これらは、出演が決まった時点でライブハウスに送っておくのが理想です。多くの会場では、出演者向けの資料や提出フォーマットが用意されています。指定の書式があればそれに従いましょう。

参考音源のリンクを添えるのも有効です。自分たちの音源を聴いてもらえれば、目指す方向が言葉より正確に伝わります。

電源やケーブルの持ち込みについても、事前に確認しておくと安心です。エフェクターの数や電源タップの必要数は、当日になって足りないと気づく代表的な項目です。

インプットリストの書き方

audio cables stage floor (Photo: ION  Photography / Pexels)

はじめて書くときは、何を書けばいいのか見当がつかないかもしれません。難しい書式ではなく、番号と楽器名と接続方法があれば形になります。

たとえば、弾き語りであれば次のようになります。

  • 1/Vo(ボーカル)/マイク(会場備品を希望)
  • 2/A.Gt(アコースティックギター)/ライン、DI必要
  • 3/同期音源/ステレオ2本、DI必要

バンド編成であれば、ドラム、ベース、ギター、キーボード、ボーカルの順に並べていく形が一般的です。ドラムはキック、スネアと細かく分ける場合もありますが、会場側の判断に任せて「Dr一式」と書いても問題ありません。

DI(ダイレクトボックス)が必要かどうかは、必ず書いておきたい項目です。アコースティックギターやキーボード、同期音源はDIを通すことが多く、本数が足りないと当日に困ります。

持ち込み機材と会場備品の区別も明記しましょう。マイクを持参するのか借りるのか、アンプは備品を使うのかを書いておけば、余計なやり取りが省けます。

同期音源やパソコンを使う場合は、特に丁寧に書いてください。出力端子の形状、クリックを別系統で出すかどうか。この2点が曖昧だと、リハーサルで時間を取られます。

書き方に自信がなくても、送ってしまったほうが早いといえます。不足があれば会場側から質問が来ますので、そのやり取り自体が打ち合わせになります。

当日のサウンドチェックの流れ

band soundcheck stage (Photo: AI25.Studio  AI GENERATIVE / Pexels)

会場に入ってからは、決められた時間の中で進みます。流れを知っておくだけで、落ち着いて対応できます

一般的には、次の順で進んでいきます。

楽器のセッティングから始まります。アンプを置き、エフェクターをつなぎ、マイクを立てる工程です。この段階で手間取ると、音を出す時間が削られます。

ラインチェックでは、PAが1本ずつ音を確認します。「ボーカルお願いします」と言われたら、実際の本番と同じ音量で声を出してください。小さく出すと、本番で全く違う状態になります。

各楽器の音出しが続きます。ドラム、ベース、ギターと順に単体で鳴らし、客席側の音量バランスを作ります。

全体での音出しでは、実際に1曲、あるいはサビの部分を通して演奏します。ここがモニターの要望を伝える最大の機会になります。

モニター調整は、演奏しながら伝えるのが基本です。手を挙げてPAに合図し、必要な要望を短く伝えます。

転換の確認まで済ませられると理想的です。複数組が出演する日は、自分たちの出番前後にどう入れ替わるかを把握しておきましょう。

リハーサルの持ち時間は、1組あたり15分から30分程度が目安になります。限られた時間ですので、要望は優先順位をつけて伝えることをおすすめします。

モニターの頼み方と言葉づかい

stage monitor speaker (Photo: James Collington / Pexels)

要望を伝えるときは、言い方に少し工夫を加えると正確に伝わります。専門用語を覚える必要はありません。

基本の形は、**「何を」「どうしてほしいか」**の2つを含めることです。「ボーカルをもう少し上げてください」「ギターを少し下げてください」。これだけで十分に通じます。

どの返しの話かを明示すると、さらに確実です。「私のモニターで、ボーカルを上げてください」と言えば、どの返しの話なのかが伝わります。

伝えにくいときは、手の合図も使えます。上に上げる仕草で音量アップ、下げる仕草でダウン。演奏中はこの方法が現実的です。

音質の要望は、感覚的な言葉でも構いません。「もう少し明るく」「低音を減らしてほしい」といった表現で、PAは意図をくみ取ってくれます。専門用語で言い換えようとして、かえって伝わらなくなるほうが困ります。

避けたいのは、「なんか変です」だけで終わる伝え方です。何がどう変なのかがわからないと、対応のしようがありません。「歌が遠い」「ギターが刺さる」のように、対象を一つ挙げましょう。

優先順位をつけて伝えることも大切です。すべてを完璧にしようとすると時間が尽きます。「これだけは必要」という1点を先に伝えてください。

最後に、お礼を伝えることを忘れないでください。調整してもらったら「ありがとうございます」と一言。この積み重ねが、次の出演での関係を作ります。

弾き語りや同期音源での注意点

acoustic guitar singer microphone (Photo: Geancarlo Peruzzolo / Pexels)

編成によって、確認すべき点は変わります。個人で活動する方に多いケースを取り上げます。

弾き語りの場合は、声とギターのバランスが要になります。ギターが大きすぎると歌が埋もれ、小さすぎるとリズムが取りにくくなります。リハーサルで自分にとっての適正を探しておきましょう。

アコースティックギターのハウリングは、起きやすいトラブルです。ボディの共鳴でこもった低音が回り込むため、サウンドホールカバーを持っておくと対処できます。

同期音源を使う場合は、クリックを客席に出さない配線が必須になります。パソコンやスマートフォンから2系統を出す方法が一般的で、機材の準備を事前に相談しておきましょう。

再生機器のトラブルにも備えが必要です。音源のバックアップを別の端末にも入れておく、通知をすべて切っておくといった対策が有効です。

楽器の持ち替えがある場合は、その段取りも伝えておきます。何曲目でどう替わるのかがわかれば、PA側も準備できます。

エフェクターを使う場合は、リハーサルで実際に踏んで確認してください。音量が大きく変わる設定は、本番で驚かせることになります。

本番中にトラブルが起きたときの対処

guitar pedalboard cables (Photo: QVEVRI  TBILISI / Pexels)

準備をしても、想定外は起こります。慌てないための選択肢を、あらかじめ持っておきましょう。

モニターが聞こえないときは、演奏を止めずに手で合図します。曲間であれば、短く口頭で伝えても構いません。

ハウリングが起きたときは、マイクの向きを変えるのが即効性のある対処になります。スピーカーに向いた状態を解消するだけで、収まることがほとんどです。

音が出なくなった場合は、まず自分の足元を確認しましょう。シールドの抜け、エフェクターの電池切れ、電源タップの接触。原因の多くはこの範囲にあります。

それでも解決しないときは、無理に続けようとせず、PAに向かって合図を送ってください。MCでつないでいる間に、対処してもらえる場合があります。

予定外の事態が起きても、演奏を止めないという判断が有効な場面も多くあります。お客さんは機材の詳細を知りませんので、落ち着いて進めれば大きな問題になりません。

終演後には、気になった点を共有しておくとよいでしょう。次回の出演時に活かされますし、会場側にとっても有用な情報になります。

まとめ

sound engineer mixing console (Photo: Elvis KAMBIRE / Pexels)

ライブハウスの音響打ち合わせについて、押さえておきたいポイントを整理します。

  • 打ち合わせは客席の音と演奏者が聴くモニターの2系統を決める場になる
  • モニターの状態は本人にしかわからないため、遠慮せず要望を伝える
  • インプットリスト、ステージ図、セットリストを事前に送っておく
  • インプットリストは番号、楽器名、接続方法とDIの要不要が書ければ足りる
  • ラインチェックでは本番と同じ音量で音を出す
  • 要望は「何を」「どうしてほしいか」の2つを含めて短く伝える
  • 弾き語りは声とギターのバランス、同期はクリックの分離が要になる
  • ハウリングはマイクの向きを変えると収まることが多い
  • 終演後に気になった点を共有すると、次回の出演に活きる

まずは自分の編成のインプットリストを、紙1枚に書き出してみてください。それだけで、当日に伝えるべきことが整理されます。


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