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ライブハウス

ライブハウスの音響打ち合わせ!当日に慌てないための準備を解説

はじめてライブハウスに出演したとき、リハーサルで何を言えばいいのかわからず、黙ったまま時間が過ぎてしまった。そんな経験を持つ方は少なくありません。

本番が始まってから、自分の声が全く聞こえないことに気づく。返ってくるのはギターの音ばかりで、歌のピッチが取れないまま1曲目が終わる。

その多くは、音響の打ち合わせで防げるものです。そこで本記事では、ライブハウスの音響打ち合わせについて、事前の準備から当日の伝え方までを順を追って解説します。

この記事の結論

  • 打ち合わせで決まるのは2系統です。客席に出る音と、演奏者が聴くモニターの音。前者はPAに任せ、後者は自分から伝えます。
  • モニターの状態は本人にしかわかりません。何が聞こえていないかを口に出さないと、本番で歌のピッチが取れないまま1曲目が終わります。
  • 事前に3点を送っておいてください。インプットリスト、ステージ図、セットリストと転換の情報です。
  • インプットリストは番号、楽器名、接続方法、DIの要不要が書ければ足ります。難しい書式は不要です。
  • ラインチェックでは本番と同じ音量で音を出します。小さく出すと、その音量で卓が組まれて本番が崩れます。
  • 要望は「何を」「どうしてほしいか」の2つを含めて短く伝えます。「私のモニターでボーカルを上げてください」の形です。
  • リハーサルの持ち時間は1組15分から30分程度。すべてを完璧にしようとせず、「これだけは必要」という1点を先に伝えてください。

音響の打ち合わせは何のために行うのか

live house stage lights (Photo: Caleb Oquendo / Pexels)

まず、この時間が何を決める場なのかを理解しておきましょう。打ち合わせは、演奏を客席に届けるための設計図を共有する場です。

ライブハウスの音響担当者、いわゆるPAは、あなたの音楽を初めて聴く立場にいます。どんな編成で、どの楽器が主役で、どんな質感を目指しているのか。

伝えなければ、知りようがありません。

打ち合わせで決まるのは、大きく2つです。客席に出る音と、演奏者が聴くモニターの音、この2系統をどう作るかが中心になります。

客席側の音は、最終的にはPAの判断で作られます。会場の特性を知っているのは彼らですので、細かな調整は任せるのが基本です。

モニター側の音は、演奏者本人にしかわかりません。何が聞こえていないのか、何が大きすぎるのかは、口に出さなければ伝わらない情報です。

ここを遠慮することが、本番の失敗に直結します。

打ち合わせは、うまく演奏するためではなく、うまく演奏できる状態を作るための時間です。要望を伝えることは、わがままではありません。

むしろ、伝えてもらったほうが仕事がしやすいと考えるPAがほとんどです。

事前に準備しておくもの

handwritten notes clipboard (Photo: Tima Miroshnichenko / Pexels)

当日その場で考えると、必ず時間が足りなくなります。紙に書いて持っていくだけで、進行が驚くほどスムーズになります。

準備しておきたいのは、次の3点です。

インプットリストは、どの音をどれだけPAに送るかを一覧にしたものです。ボーカル、ギター、キーボードといった音源を番号順に並べ、それぞれの接続方法を書き添えます。

ステージ図は、誰がどこに立つかを示した簡単な見取り図です。手書きで構いません。

立ち位置とアンプの場所、モニタースピーカーの希望位置の3点が分かれば役に立ちます。

セットリストと転換の情報も添えておきましょう。曲順に加えて、曲間のMCの長さ、途中で楽器を持ち替えるかどうかを書いておくと、進行の見通しが立ちます。

3点とも、出演が決まった時点でライブハウスに送っておくのが理想です。会場の大半は、出演者向けの資料や提出フォーマットを用意しています。

指定の書式があればそれに従いましょう。

参考音源のリンクを添えるのも有効です。自分たちの音源を聴いてもらえれば、目指す方向が言葉より正確に伝わります。

電源やケーブルの持ち込みについても、事前に確認しておくと安心です。エフェクターの数や電源タップの必要数は、当日になって足りないと気づく代表的な項目です。

持ち込みの可否はライブハウスへの機材持ち込みで扱っています。

インプットリストの書き方

audio cables stage floor (Photo: ION  Photography / Pexels)

はじめて書くときは、何を書けばいいのか見当がつかないかもしれません。難しい書式ではなく、番号と楽器名と接続方法があれば形になります。

たとえば、弾き語りであれば次のようになります。

  • 1/Vo(ボーカル)/マイク(会場備品を希望)
  • 2/A.Gt(アコースティックギター)/ライン、DI必要
  • 3/同期音源/ステレオ2本、DI必要

バンド編成であれば、ドラム、ベース、ギター、キーボード、ボーカルの順に並べていく形が一般的です。ドラムはキック、スネアと細かく分ける場合もありますが、会場側の判断に任せて「Dr一式」と書いても問題ありません。

DI(ダイレクトボックス)が必要かどうかは、必ず書いておきたい項目です。アコースティックギターやキーボード、同期音源はDIを通すことが多く、本数が足りないと当日に困ります。

持ち込み機材と会場備品の区別も明記しましょう。マイクを持参するのか借りるのか、アンプは備品を使うのかを書いておけば、余計なやり取りが省けます。

同期音源やパソコンを使う場合は、特に丁寧に書いてください。出力端子の形状、クリックを別系統で出すかどうか。

この2点が曖昧だと、リハーサルで時間を取られます。

書き方に自信がなくても、送ってしまったほうが早いといえます。不足があれば会場側から質問が来ますので、そのやり取り自体が打ち合わせになります。

当日のサウンドチェックの流れ

band soundcheck stage (Photo: AI25.Studio  AI GENERATIVE / Pexels)

会場に入ってからは、決められた時間の中で進んでいきます。流れを知っておくだけで、落ち着いて対応できます。

一般的には、次の順で進んでいきます。各工程で自分が何をするかは次の表のとおりです。

工程 PAがすること 自分がすること
楽器のセッティング ステージの配線 アンプを置き、エフェクターをつなぐ
ラインチェック 1本ずつ音を確認 本番と同じ音量で音を出す
各楽器の音出し 客席側の音量バランスを作る 単体で鳴らす
全体での音出し 全体のバランス調整 1曲またはサビを通し、モニターの要望を出す
モニター調整 返しの内容を変える 演奏しながら手を挙げて短く伝える
転換の確認 次組との入れ替え手順 出番前後の動きを把握する

モニターの要望を出せる最大の機会は「全体での音出し」です。ここで言えないと、本番まで直せません。

楽器のセッティングから始まります。アンプを置き、エフェクターをつなぎ、マイクを立てる工程です。

この段階で手間取ると、音を出す時間が削られます。

ラインチェックでは、PAが1本ずつ音を確認します。「ボーカルお願いします」と言われたら、実際の本番と同じ音量で声を出してください。

小さく出すと、その音量で卓が組まれてしまいます。

各楽器の音出しが続きます。ドラム、ベース、ギターと順に単体で鳴らし、客席側の音量バランスを作ります。

全体での音出しでは、実際に1曲、あるいはサビの部分を通して演奏してください。ここがモニターの要望を伝える最大の機会になります。

モニター調整は、演奏しながら伝えるのが基本です。手を挙げてPAに合図し、必要な要望を短く伝えます。

転換の確認まで済ませられると理想的です。複数組が出演する日は、自分たちの出番前後にどう入れ替わるかを把握しておきましょう。

リハーサルの持ち時間は、1組あたり15分から30分程度が目安になります。限られた時間ですので、要望は優先順位をつけて伝えることをおすすめします。

セッティング自体を短くする工夫はライブ機材セッティングの効率化にまとめました。

モニターの頼み方と言葉づかい

stage monitor speaker (Photo: James Collington / Pexels)

要望を伝えるときは、言い方に少し工夫を加えると正確に伝わります。専門用語を覚える必要はありません。

基本の形は、**「何を」「どうしてほしいか」**の2つを含めることです。「ボーカルをもう少し上げてください」「ギターを少し下げてください」。

この形で通じます。

どの返しの話かを明示すると、さらに確実です。「私のモニターで、ボーカルを上げてください」と言えば、どの返しの話なのかが伝わります。

伝えにくいときは、手の合図も使えます。上に上げる仕草で音量アップ、下げる仕草でダウン。

演奏中は、声を出すより手の合図のほうが現実的です。

音質の要望は、感覚的な言葉でも構いません。「もう少し明るく」「低音を減らしてほしい」といった表現で、PAは意図をくみ取ってくれます。

専門用語で言い換えようとして、かえって伝わらなくなるほうが困ります。

避けたいのは、「なんか変です」だけで終わる伝え方です。何がどう変なのかがわからないと、対応のしようがありません。

「歌が遠い」「ギターが刺さる」のように、対象を一つ挙げましょう。

優先順位をつけて伝えることも大切です。すべてを完璧にしようとすると時間が尽きます。

「これだけは必要」という1点を先に伝えてください。

最後に、お礼を伝えることを忘れないでください。調整してもらったら「ありがとうございます」と一言。

この積み重ねが、次の出演での関係を作ります。

弾き語りや同期音源での注意点

acoustic guitar singer microphone (Photo: Geancarlo Peruzzolo / Pexels)

編成によって、確認すべき点は変わるものです。個人で活動する方に多いケースを取り上げます。

弾き語りの場合は、声とギターのバランスが要になります。ギターが大きすぎると歌が埋もれ、小さすぎるとリズムが取りにくくなります。

リハーサルで自分にとっての適正を探しておきましょう。マイクとの距離の決め方は弾き語りのマイクと立ち位置に書いてあります。

アコースティックギターのハウリングは、起きやすいトラブルです。ボディの共鳴でこもった低音が回り込むため、サウンドホールカバーを持っておくと対処できます。

アンプを併用する場合の選び方はライブアンプの選び方も参考になります。

同期音源を使う場合は、クリックを客席に出さない配線が必須になります。パソコンやスマートフォンから2系統を出す方法が一般的で、機材の準備を事前に相談しておきましょう。

再生機器のトラブルにも備えが必要です。音源のバックアップを別の端末にも入れておく、通知をすべて切っておくといった対策が有効です。

楽器の持ち替えがある場合は、その段取りも伝えておきます。何曲目でどう替わるのかがわかれば、PA側も準備できます。

エフェクターを使う場合は、リハーサルで実際に踏んで確認してください。音量が大きく変わる設定は、本番で驚かせることになります。

本番中にトラブルが起きたときの対処

guitar pedalboard cables (Photo: QVEVRI  TBILISI / Pexels)

準備をしても、想定外は起こります。慌てないための選択肢を、あらかじめ持っておきましょう。

モニターが聞こえないときは、演奏を止めずに手で合図します。曲間であれば、短く口頭で伝えても構いません。

ハウリングが起きたときは、マイクの向きを変えるのが即効性のある対処になります。スピーカーに向いた状態を解消するだけで、収まることがほとんどです。

音が出なくなった場合は、まず自分の足元を確認しましょう。シールドの抜け、エフェクターの電池切れ、電源タップの接触。

原因の多くはこの範囲にあります。

それでも解決しないときは、無理に続けようとせず、PAに向かって合図を送ってください。MCでつないでいる間に、対処してもらえる場合があります。

予定外の事態が起きても、演奏を止めないという判断が有効な場面も多くあります。お客さんは機材の詳細を知りませんので、落ち着いて進めれば大きな問題になりません。

終演後には、気になった点を共有しておくとよいでしょう。次回の出演時に活かされますし、会場側にとっても有用な情報になります。

振り返りの手順はライブの振り返り方を使ってください。

よくある質問

音響の打ち合わせでは何が決まるのですか?

2系統です。客席に出る音と、演奏者が聴くモニターの音。

客席側は会場の特性を知っているPAの判断で作られるので、細かな調整は任せるのが基本です。モニター側は演奏者本人にしかわからないため、何が聞こえていないのか、何が大きすぎるのかを自分から伝える必要があります。

事前に何を送っておけばよいですか?

3点です。インプットリスト(どの音をどれだけPAに送るかの一覧)、ステージ図(誰がどこに立つかの見取り図)、セットリストと転換の情報(曲順、MCの長さ、楽器の持ち替え)。

出演が決まった時点で送っておくのが理想です。会場の大半は出演者向けの提出フォーマットを用意しているので、指定の書式があればそれに従ってください。

参考音源のリンクを添えると、目指す方向が言葉より正確に伝わります。

インプットリストはどう書けばよいですか?

番号、楽器名、接続方法があれば形になります。弾き語りなら「1/Vo/マイク(会場備品を希望)」「2/A.Gt/ライン、DI必要」「3/同期音源/ステレオ2本、DI必要」のような書き方です。

DIが必要かどうかは必ず書いてください。アコースティックギター、キーボード、同期音源はDIを通すことが多く、本数が足りないと当日に困ります。

持ち込み機材と会場備品の区別も明記します。

リハーサルでモニターの要望はどう伝えますか?

「何を」「どうしてほしいか」の2つを含めて短く伝えます。「私のモニターで、ボーカルを上げてください」の形です。

音質の要望は感覚的な言葉でも構いません。「もう少し明るく」「低音を減らしてほしい」で意図は伝わります。

避けたいのは「なんか変です」だけで終わる伝え方です。「歌が遠い」「ギターが刺さる」のように対象を一つ挙げてください。

リハーサルの時間はどれくらいですか?

1組あたり15分から30分程度が目安です。この中で楽器のセッティング、ラインチェック、各楽器の音出し、全体での音出し、モニター調整、転換の確認まで進みます。

すべてを完璧にしようとすると時間が尽きます。「これだけは必要」という1点を先に伝えてください。

本番中にモニターが聞こえなくなったらどうしますか?

演奏を止めずに手で合図します。上に上げる仕草で音量アップ、下げる仕草でダウン。

曲間なら短く口頭で伝えても構いません。

ハウリングが起きたときは、マイクの向きを変えるのが即効性のある対処です。音が出なくなったときは、まず自分の足元(シールドの抜け、エフェクターの電池切れ、電源タップの接触)を確認してください。

ライブハウスの音響打ち合わせまとめ

sound engineer mixing console (Photo: Elvis KAMBIRE / Pexels)

ライブハウスの音響打ち合わせについて、押さえておきたいポイントを整理します。

  • 打ち合わせは客席の音と演奏者が聴くモニターの2系統を決める場になる
  • モニターの状態は本人にしかわからないため、遠慮せず要望を伝える
  • インプットリスト、ステージ図、セットリストを事前に送っておく
  • インプットリストは番号、楽器名、接続方法とDIの要不要が書ければ足りる
  • ラインチェックでは本番と同じ音量で音を出す
  • 要望は「何を」「どうしてほしいか」の2つを含めて短く伝える
  • 弾き語りは声とギターのバランス、同期はクリックの分離が要になる
  • ハウリングはマイクの向きを変えると収まることが多い
  • 終演後に気になった点を共有すると、次回の出演に活きる

まずは自分の編成のインプットリストを、紙1枚に書き出してみてください。それだけで、当日に伝えるべきことが整理されます。

毎日配信をしても、お客さんは増えない。告知をしても、ライブの客席は空いたまま。新しい曲を作っても、誰にも届かない。

努力はしているのに、ほとんどの人が報われない。それが、多くのアーティストが直面している現実です。

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