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コラム

「主婦」のまま終わりたくなかった─弾き語りシンガーの選んだ道

山崎

「大学1年生の頃から、ずっとプロになりたかったんです」

そう語るのは、シンガーソングライター・菊池くじらさん。
現在はオンラインライブプラットフォーム「corom」を中心に活動し、2030年3000人ライブという大きな目標に向かって走り続けています。

しかし、その道のりは決して一直線ではありませんでした。

「集客できないのは、自分に価値がないからだ」

そう思い込み、もっと違う存在になろうと、歌・芝居・ダンス・会話・エンターテインメントを吸収し続けた10年。
地方での音楽活動、結婚、転勤、主婦としての生活——。

それでも彼女は、音楽を辞めませんでした。

これは、“もっと違う何者か”になろうとしながらも、10年かけて吸収してきたすべてを、自分の音楽へと繋げていったアーティストの物語です。

「歌ったら、自分が受け入れられた」—音楽が居場所になった日

音楽は、物心ついた頃から当たり前のようにそばにありました。

幼少期はピアノ、学生時代は吹奏楽部でトランペット。
高校時代は人間関係に悩み、不登校も経験したと言います。

「自己肯定感が本当に低かったんです。クラスメイトに話しかけられるだけで脇汗かくくらいで」

そんな彼女が大きく変わったのは、大学で軽音サークルに入ったことでした。

初めて人前で歌ったライブ。
緊張しながら演奏を終えると、先輩たちが「すごく良い声だった」と褒めてくれた。

その瞬間、彼女の中で何かが変わりました。

「歌を歌ったら、自分の存在が無条件で受け入れられた感覚があったんです」

大学時代は、音楽とアルバイトだけの毎日。
ギターボーカルとしてライブに熱中しながら、心の中ではずっと「プロになりたい」という想いを抱えていました。

結婚、転勤、地方での音楽活動—それでも辞めなかった

大学卒業後は、派遣の事務職として働きながら音楽活動を継続。
音楽一本で生きる道ではなく、“音楽を続けるための生活”を選びました。

「残業が少なくて、練習時間を確保できる仕事を探してたんです」

結婚後は、福岡、宮崎、大阪へと移住。
転勤族として生活しながら、各地のライブバーやオープンマイクを回り、地方で音楽活動を続けていきます。

しかし、大阪に定住してから、大きな壁にぶつかりました。

「何回ライブをしても、お客さんが増えない」ライブバーでは、お客さんを呼べなければ店にも貢献できません。
“集客”という現実が、彼女に重くのしかかっていきました。

「今の自分じゃダメなんだ」—修行し続けた10年間

集客できない理由を、彼女は「自分のクオリティ不足」だと考えました。

もっと歌が上手くならなきゃ。
もっと面白くならなきゃ。
もっと違う存在にならなきゃ。

そうして始まった、“修行の10年”。

ボイトレ、ジャズ、ダンス、芝居。
さらに会話力を磨くため、キャバレーや落語家の店でも働いたと言います。

「とにかくエンターテインメントに関わるものを全部吸収したかったんです」

その行動力は圧倒的でした。
けれど、どこかでずっと「今の自分」を否定していました。

本当は、周囲はずっと気づいていたそうです。

「やっぱり弾き語りが一番いいよね」

でも彼女自身は、“弾き語りの自分”に価値を見出せなかった。

もっと派手で、もっと特別な何かにならなければ、音楽で食べていくことはできないと思い込んでいたのです。

coromとの出会いで、“本当の自分”を取り戻した

転機は、2024年。
100人ワンマンライブを目指していた頃、菊池さんは「corom」と出会います。

最初は半信半疑でした。
過去にはオーディション関連で苦い経験もあり、「またこういう感じかな」と警戒していたと言います。

それでも、運営との面談や、他アーティストとの交流を通して、少しずつ考え方が変わっていきました。
特に大きかったのが、“横のつながり”。
同じように悩み、挑戦しているアーティストを見る中で、自分を客観視できるようになったのです。

「人を見ながら、自分と向き合えるようになったんですよね」

そして、ようやく気づきます。

“私は、弾き語りをやる人なんだ”

いろんな表現を吸収し、“もっと違う何者か”になろうとしてきた10年を経て、「自分の命はここで使うんだ」と腹落ちしたのです。

オンラインライブで変わった、収益と自信

coromでの最初のライブは、チケット2〜3枚。
オンラインライブという文化自体を理解してもらうのが難しかったと言います。

リアルライブのファンからは
「なんで画面越しで見るの?」

無料配信を見ていた人からは
「なんでチケット制なの?」

そんな反応も少なくありませんでした。
それでも彼女は、「2030年3000人ライブ」という大きな目標を掲げ続けました。

“今、自分がどこを目指しているのか”

そのストーリーを言葉にして発信し続けたことで、少しずつ応援してくれる人が増えていったのです。

そして2025年、coromでアリーナ25席を完売。
その頃から、周囲に「雰囲気変わったよね」と言われるようになりました。

「自信がついたんです」

それは単なる数字ではありませんでした。

“主婦”ではなく、“菊池くじら”として活動できている実感。
開業届を出し、音楽で収益を得られるようになったこと。

「自分の表現に、お金と時間を払ってもらうことへの申し訳なさがなくなったんです」

同じように悩むアーティストへ

「飛び込め」

最後に、同じように悩む人へのメッセージを聞くと、彼女はそう答えました。

音楽を続けたい。
でも、年齢もある。
地方在住だし、家庭もある。
音楽 副業のままで終わるのかもしれない。

そんな不安を抱える人は、きっと少なくありません。
それでも、オンラインライブという選択肢があることで、“続ける道”は確実に増えています。

coromでの活動を通して、菊池さんは今、再び大きな夢を描けるようになりました。

次の目標は、Zepp Nambaワンマンライブ。
その先には、2030年3000人ライブがあります。

「人生はいつでもTABEGORO」

そう語る彼女は今日も、“自分自身の音楽”を武器に、ステージへ立ち続けています。

coromは、音楽を諦めきれない人が、もう一度歩き出すためのステージになれる場所です。
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インディペンデントアーティスト編集部
インディペンデントアーティスト編集部
「私たちは音楽を諦めない」というビジョンを掲げ、多様なジャンルのインディペンデントアーティストたちを紹介するオウンドメディアを運営しています。新たな才能を発掘し、アーティストの創造性を全面的に支援することで、音楽の新しい形を創り出しています。マイクロライブ空間アプリ「コロム」運営。
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