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仕事

ミュージシャンの副業事情は?両立して続けるための現実的な道筋

「音楽で食べていけないから、自分は本物ではないのかもしれない」と考えたことはないでしょうか。仕事を終えてスタジオへ向かう電車の中で、疲労とともにそんな思いがよぎることもあります。

しかし、音楽活動と他の仕事を並行させることは、決して例外的な形ではありません。むしろ、長く活動を続けている人ほど、収入源を複数持っていることが多いのが実情です。

そこで本記事では、ミュージシャンの副業事情を、実態の把握から仕事の選び方、時間の使い方、移行の判断まで順を追って解説します。理想論ではなく、続けるための現実的な道筋をまとめました。


兼業は例外ではない

guitar office desk balance (Photo: cottonbro studio / Pexels)

まず、この前提を共有しておきたいと思います。

音楽だけで生活している人のほうが少数というのが、業界の実態です。プロとして活動している人の多くも、レッスン、サポート演奏、制作の受託など、複数の収入源を組み合わせています。

「専業でなければ本物ではない」という考え方は、活動を苦しくするだけです。生活が成り立たなければ、音楽を続けること自体ができません。収入を確保することは、活動を守るための行為です。

兼業の利点もあります。

経済的な安定があると、音楽の判断が変わります。生活のために妥協した仕事を受ける必要がなくなり、やりたい表現を選べます。

焦らずに続けられることも大きな価値です。収入が音楽だけに依存していると、結果が出ない時期に精神的に追い詰められます。

別の世界を知ることが、創作に返ってくることもあります。音楽業界だけを見ていると、視野が狭くなります。

一方で、難しさも確かにあります。時間が足りない、体力が持たない、活動の機会を逃す。次章以降で、それぞれへの向き合い方を見ていきます。

両立の現実的な難しさ

tired person evening commute (Photo: Steven  Arenas / Pexels)

時間が足りない

最も直面する問題です。平日の日中を仕事に使えば、練習や制作は夜と週末に限られます。

ライブの機会を逃すことも起こります。平日の昼に開催されるイベント、遠方での出演。仕事を休めなければ、参加できません。

制作が細切れになるという問題もあります。まとまった時間が取れず、集中が続かないまま断片的に進めることになります。

体力の限界

フルタイムで働いた後に演奏するのは、想像以上に消耗します。特に声を使う活動では、疲労が直接パフォーマンスに影響します。

回復の時間を確保できないと、慢性的な疲れが蓄積します。これが続くと、音楽そのものが苦痛になっていきます。

精神的な葛藤

中途半端に感じるという感覚は、多くの人が抱えます。仕事にも音楽にも全力を注げていない気がしてしまいます。

周囲との比較も苦しさの原因になります。専業で活動している人を見ると、自分の状況が劣って見えることがあります。

それでも続けられる形を作る

これらの困難は、工夫で軽減できます。

すべてを完璧にやろうとしないことが第一の原則です。平日は練習だけ、週末に制作。そう割り切れば、罪悪感は減ります。

優先順位を明確にすることも助けになります。今年はライブを年4回、来年はリリース。目標を絞れば、迷いが減ります。

周囲に理解を求めることも必要です。家族、職場、バンドメンバー。事情を共有しておけば、調整が可能になります。

音楽関連の仕事を選ぶ

music teacher lesson student (Photo: Yan Krukau / Pexels)

副業の選び方には、大きく2つの方向があります。まず、音楽に関わる仕事を見ていきます。

音楽講師は、最も一般的な選択肢です。楽器のレッスン、ボイストレーニング。自分の技術がそのまま収入になります。

音楽教室に所属する形と、個人で生徒を集める形があります。個人であれば単価は高くなりますが、集客を自分で行う必要があります。

サポート演奏は、他のアーティストのライブやレコーディングで演奏する仕事です。演奏技術と、譜面を読む力、対応の速さが求められます。

制作の受託もあります。編曲、ミックス、マスタリング。技術があれば、在宅で完結する仕事になります。

ストック音楽の制作は、時間の融通が利く選択肢です。締切に追われることなく、自分のペースで積み上げられます。

音楽関連の仕事に就くという方法もあります。楽器店、スタジオ、ライブハウス、音響会社。業界の中で働くことで、人脈と情報が得られます。

音楽関連を選ぶ利点は、技術が相互に活きることです。教えることで自分の理解が深まり、サポート演奏で対応力が上がります。

注意点もあります。音楽が仕事になることで、純粋な楽しさが薄れることがあります。また、繁忙期が自分の活動と重なることも起こります。

音楽以外の仕事を選ぶ

laptop remote work home (Photo: Mert Coşkun / Pexels)

もう一方の選択肢も、検討する価値があります。

時間の融通が利く仕事が第一の基準になります。

  • シフト制の仕事
  • 在宅でできる仕事
  • 成果で評価される仕事

体力を使いすぎない仕事も重要な条件です。肉体労働の後に演奏するのは、現実的に厳しい場面があります。

声を使わない仕事は、歌う人にとっては大切な条件です。一日中話す仕事は、喉に負担がかかります。

在宅ワークは、移動時間がなくなる点で有利です。文章作成、デザイン、事務作業、プログラミング。技術があれば選択肢が広がります。

音楽以外を選ぶ利点は、音楽への気持ちを保てることです。仕事と創作が分かれていることで、音楽が息抜きの場所として機能します。

収入の安定も見込みやすくなります。音楽関連の仕事は、景気や季節に左右されることがあります。

収入の組み立て方

calculator budget planning notes (Photo: https://kaboompics.com/ / Pexels)

複数の収入源をどう組み合わせるかを考えましょう。

生活費を賄う軸を1つ持つことが基本です。すべてを細切れの収入で埋めようとすると、不安定になります。

音楽からの収入を段階的に増やすという考え方が現実的です。

  • 第1段階:音楽の収入はゼロか赤字。副業で生活を支える
  • 第2段階:音楽が黒字化する。機材や制作費を賄える
  • 第3段階:音楽の収入が生活費の一部を担う
  • 第4段階:音楽が主たる収入源になる

焦って段階を飛ばさないことが大切です。第1段階から第4段階に一気に進もうとすると、無理が生じます。

音楽の収入源も分散させると安定します。ライブ、配信、物販、楽曲提供、レッスン。一つが不調でも、他で補えます。

支出の管理も収入と同じくらい重要です。機材、スタジオ代、交通費、制作費。何にいくら使っているかを把握しておかないと、実際の収支が見えません。

確定申告についても触れておきます。副業の所得が一定額を超える場合、申告が必要です。音楽活動の経費を計上できる場合もあるため、記録は残しておきましょう。

時間を確保する工夫

clock calendar morning routine (Photo: Fauzan Fitria / Pexels)

限られた時間を、どう音楽に振り向けるか。

固定の時間を決めることが最も効果的です。「平日の朝1時間」「日曜の午後」といった枠を作り、そこは動かさない。空いた時間にやろうとすると、結局できません。

細切れの時間を活用する方法もあります。通勤中に歌詞を考える、昼休みに音源を聴く、寝る前に15分だけ練習する。まとまった時間だけが練習ではありません。

自宅でできる形を整えることも重要です。スタジオに行かなければ何もできない状態では、機会が限られます。ヘッドホンで練習できる環境、宅録できる設備があると、時間の使い方が変わります。

移動時間を減らす工夫も効きます。職場と自宅とスタジオの距離。可能な範囲で、移動の負担を小さくする選択があります。

やらないことを決めることも必要です。すべての誘いに応じ、すべての機会に参加していると、時間はいくらあっても足りません。

休む時間を確保することも、忘れてはいけない要素です。休息を削って活動すると、いずれ体か心が限界を迎えます。

本業移行を考える判断基準

crossroads decision path (Photo: Nathanael Schmer / Pexels)

いつか音楽を主軸にしたい。そう考えている方のために、判断の目安を挙げます。

収入の見通しが立っているかが第一の基準です。単発の大きな収入ではなく、継続的に入ってくる金額で判断します。

  • レッスンの固定生徒数
  • 定期的なサポート演奏の依頼
  • 配信やストック音楽からの継続収入

こうした安定した部分が、生活費の何割を占めているか。目安として、生活費の7割程度を音楽で賄えている状態が一つの水準になります。

貯蓄の余裕も判断材料です。移行後、収入が不安定になる時期があります。半年から1年分の生活費があると、精神的な余裕を持って動けます。

依頼が断れないほど来ているかも、判断の材料になります。時間の制約で仕事を断っている状態であれば、時間を作ることで収入が増える可能性があります。

生活の状況も考慮が必要です。扶養する家族がいるか、住居費がどれくらいか。同じ収入でも、条件によって判断は変わります。

段階的に移行する方法もあります。フルタイムからパートタイムへ、そして完全な独立へ。一気に辞めるより、リスクを抑えられます。

戻る選択肢を残しておくことも現実的です。円満に退職する、資格を維持する、人脈を保つ。うまくいかなかったときに戻れる道があると、思い切って挑戦できます。

燃え尽きないために

musician resting quiet window (Photo: Yan Krukau / Pexels)

最後に、長く続けるための視点に触れておきます。

成果を急がないことが、何より大切です。兼業では、専業の人と同じ速度では進めません。それは能力の差ではなく、使える時間の差です。

比べる相手を間違えないようにしましょう。比較すべきは他人ではなく、1年前の自分です。

小さな達成を認める習慣も助けになります。1曲完成した、ライブを1本やった、新しい人に聴いてもらえた。前に進んでいる証拠です。

音楽を義務にしないことも重要です。「やらなければ」という気持ちだけで続けていると、いずれ音を出すことが苦しくなります。

休止も選択肢として持っておいてください。数ヶ月活動を止めることは、諦めることとは違います。生活が落ち着いてから再開した人は、たくさんいます。

続けていること自体に価値があるという視点も持っていてください。多くの人が途中でやめていく中で、仕事をしながらでも音楽を手放していない。それは十分に誇れることです。

道のりは人それぞれです。急ぐ必要はありません。

まとめ

guitar sunrise warm hopeful (Photo: Keith Wako / Pexels)

ミュージシャンの副業事情について、押さえておきたいポイントを整理します。

  • 音楽だけで生活している人のほうが少数。兼業は例外ではない
  • 経済的な安定があると、やりたい表現を選べるようになる
  • 音楽関連の仕事は技術が相互に活きる。音楽以外は気持ちを保てる
  • 仕事選びの基準は、時間の融通、体力の消耗、声への負担
  • 生活費を賄う軸を1つ持ち、音楽の収入は段階的に増やす
  • 固定の時間を決める。空いた時間にやろうとすると結局できない
  • 移行の目安は、生活費の7割程度を継続的な音楽収入で賄える状態
  • 貯蓄は半年から1年分あると、精神的な余裕を持って動ける
  • 比べる相手は他人ではなく1年前の自分

まずは今週、音楽に使える時間を書き出してみてください。実際の時間が見えると、何ができるかが具体的になります。


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インディペンデントアーティスト編集部

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