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アーティストの商標登録のやり方!活動名を守る手順と費用の目安

グッズを作ろうとしたら、印刷会社から「その名前の権利関係は大丈夫ですか」と聞かれた。あるいは、活動名で検索したときに、まったく別の分野の会社が同じ名前を使っているのを見つけてしまった。

そうした場面で初めて、商標という言葉が現実味を帯びてきます。とはいえ、費用も手続きも分からず、後回しにしている方がほとんどでしょう。

そこで本記事では、アーティストの商標登録について、何を守る制度なのかという前提から、調べ方、費用の目安、判断の基準まで順を追って解説します。


商標登録は何を守る制度なのか

trademark stamp document (Photo: https://kaboompics.com/ / Pexels)

まず、制度の性格を理解しておきましょう。判断の土台になります。

商標は、商品やサービスの出所を示す目印を保護する制度です。この名前が付いているものは、あの人が出しているものだと分かる状態を守ります。

アーティストの活動に当てはめると、アーティスト名、グループ名、ロゴマークなどが対象になります。楽曲のタイトルやキャッチフレーズが対象になる場合もあります。

登録されると、指定した分野でその名称を独占的に使える状態になります。同じ分野で他者が似た名称を使ったとき、やめるよう求められる根拠になります。

逆に言えば、登録していなければ、その根拠を持たないということでもあります。長く使ってきたという事実だけでは、必ずしも守られません。

ここで多くの方が誤解するのが、先に使っていた人が優先されるとは限らないという点です。日本の制度では、原則として先に出願した人が登録を受けられます。

つまり、あなたが5年使ってきた名前でも、別の誰かが先に出願して登録すれば、その分野での使用が難しくなる可能性があります。

登録は権利を取りに行く行為であり、放っておいて手に入るものではありません。この性質を押さえておくと、後の判断がしやすくなります。

著作権や他の権利との違い

copyright law books desk (Photo: Tara Winstead / Pexels)

似た言葉が並ぶため、整理しておきましょう。

著作権は作品そのものを守る権利です。楽曲、歌詞、ジャケットのイラストなどが対象になり、創作した時点で自動的に発生します。

手続きも費用も必要ありません。ただし、名前やタイトルは著作物として保護されにくいとされています。短い言葉には創作性が認められにくいためです。

だからこそ、名前を守る手段として商標が出てきます。作品は著作権、名前は商標という役割分担で覚えておくと混乱しません。

パブリシティ権という考え方もあります。有名人の氏名や肖像が持つ顧客吸引力を守るもので、判例の積み重ねで形作られてきました。

ただしこれは、知名度が前提になる面があります。活動を始めたばかりの段階で頼れるものではありません。

不正競争防止法による保護もありますが、その名称が広く知られていることなどが求められます。証明の負担は軽くありません。

商標登録は、登録という形で権利が可視化される点が最大の違いです。登録番号があれば、交渉の場でも説明が短く済みます。

なお、権利関係の具体的な判断は個別の事情に左右されます。実際に問題が起きている場合は、弁理士や弁護士に確認しましょう

登録すべきかを判断する基準

band merch tshirts table (Photo: Din / Pexels)

すべてのアーティストが登録する必要はありません。判断の材料を挙げます。

登録を検討したほうがよい場合

グッズや物販を展開しているなら、優先度が上がります。Tシャツ、タオル、CD。名称を付けた商品を売る行為は、商標の想定する場面そのものです。

全国的な活動や、長期の使用を見込んでいる場合も同様です。知名度が上がるほど、同じ名称を使いたい人が現れる可能性が高まります。

造語や独自性の高い名称を使っている場合は、登録が通りやすい傾向があります。せっかく作った言葉を守れる可能性が高いといえます。

すでに似た名称を見つけているなら、早めの確認が必要です。相手が先に出願する前に、状況を把握しておく価値があります。

急がなくてもよい場合

活動を始めたばかりで、名称が固まっていない段階では、急ぐ必要はありません。登録後に改名すると、費用が無駄になります。

趣味の範囲で、商品化の予定がない場合も、優先度は下がります。限られた予算は、機材や制作に回すほうが活動が前に進むこともあります。

ありふれた言葉をそのまま使っているケースでは、そもそも登録が難しい場合があります。一般的な単語は、独占させるべきでないと判断されやすいためです。

判断のもう一つの軸

その名前を失ったときの損失の大きさで考える方法もあります。改名すれば済むのか、それとも積み上げてきたものが崩れるのか。

後者に近づいているなら、検討する時期に来ているといえるでしょう。

区分という考え方を理解する

sorted document folders (Photo: cottonbro studio / Pexels)

商標の手続きで最初につまずくのが、この概念です。

商標は、使う分野を指定して登録します。この分野の区切りが区分と呼ばれ、全部で45に分かれています。

同じ名称でも、分野が違えば別々に登録される場合があります。飲食店とアーティスト名で同じ言葉が併存しているのは、この仕組みによるものです。

音楽活動に関係する区分として、よく挙げられるものがいくつかあります。

  • CDや音楽データなどの商品に関する区分
  • 音楽の演奏や興行の提供に関する区分
  • Tシャツなどの被服に関する区分
  • タオルや雑貨に関する区分

区分が増えるほど費用も上がるため、どこまで押さえるかが判断のしどころです。予算が限られているなら、実際に使っている分野に絞る考え方もあります。

使う予定のない区分を広く取ると、費用がかさむうえに、使っていないことを理由に取り消される可能性も出てきます。

一方で、将来の展開を見越して押さえておくという考え方もあります。後から追加すると、その時点で他者に押さえられている可能性があるためです。

どの区分を選ぶかは、活動の実態と予算のバランスで決まります。迷う場合は、専門家に相談する価値が最も高い部分でもあります。

先行する商標を調べる方法

person searching laptop database (Photo: cottonbro studio / Pexels)

出願の前に、必ず確認しておきたい作業があります。

特許庁が提供するデータベースを、無料で検索できます。「J-PlatPat」という名称で公開されており、登録済みの商標や出願中のものを調べられます。

使い方は難しくありません。検索窓に自分の名称を入力するだけで、一致するものが表示されます。

カタカナ、ひらがな、英字のそれぞれで検索してみてください。表記が違っても、読みが同じなら似ていると判断されることがあります。

読みが近い名称も確認しましょう。一文字違い、伸ばし棒の有無、濁点の違い。こうした差は、似ていると判断される場合があります。

検索結果では、どの区分で登録されているかを見ます。まったく関係のない分野だけであれば、影響が小さい可能性があります。

音楽や被服の区分で同じ名称が見つかった場合は、そのまま出願しても登録されない可能性が高くなります。

ここで見つかることは、悪いことではありません。出願してから拒絶されると、費用と数か月の時間が失われます。

事前に分かれば、名称を調整する、区分を変える、といった選択ができます。活動を始める前に一度検索しておくだけでも、将来のリスクを大きく減らせます。

なお、データベースで見つからなくても登録される保証はありません。最終的な判断は特許庁の審査によるという点は理解しておきましょう。

出願から登録までの流れと期間

filling application form (Photo: RDNE Stock project / Pexels)

実際の手続きの進み方を見ていきます。

書類を作成して特許庁に提出するところから始まります。願書には、商標そのもの、指定する区分と役務、出願人の情報を記載します。

提出はオンラインでも紙でも可能です。紙の場合、電子化のための手数料が別途かかります。

出願すると、方式的な確認が行われます。書類の不備があれば、補正を求められます。

その後、実体審査に進みます。すでに似た商標がないか、そもそも登録に適した名称かが審査されます。

審査には時間がかかり、結果が出るまで数か月から1年程度を見込んでおく必要があります。時期によって変動するため、余裕を持って動きましょう。

登録できないと判断された場合、拒絶理由通知が届きます。これは最終決定ではなく、意見を述べたり内容を補正したりする機会が与えられます。

反論の内容によって結果が変わることもあるため、通知が来た時点で専門家に相談する方も多くいます。

問題がなければ登録査定となり、登録料を納めることで正式に登録されます。登録の効力は10年間続き、更新も可能です。

なお、急ぎたい場合の早期審査という制度も用意されています。一定の条件を満たすと、通常より短い期間で審査を受けられます。

費用の目安と自分で出すかの判断

calculator money paperwork (Photo: https://kaboompics.com/ / Pexels)

最後に、お金と手間の話を整理します。

特許庁に納める費用は、出願時と登録時の2段階に分かれます。区分の数によって変わる仕組みです。

出願時に数千円から1万円台、登録時にさらに数万円というのが、1区分の場合のおおまかな水準です。金額は改定される可能性がありますので、最新の情報を特許庁のサイトで確認してください。

自分で出願することは可能です。オンラインの手続きも整備されており、書類の書式も公開されています。

費用を抑えられる点が最大の利点です。予算の限られた個人アーティストにとって、無視できない差になります。

一方で、区分と役務の選び方には専門性があります。ここを誤ると、登録されても実際の活動をカバーできていない状態になりかねません。

弁理士に依頼する場合、特許庁への費用に加えて報酬が発生します。金額は事務所によって幅があり、数万円から十数万円程度が一つの目安とされています。

事前調査から出願、拒絶理由への対応まで含めた内容を確認して選びましょう。見積もりを複数取ることも一般的です。

判断の目安としては、名称が単純で先行商標も見当たらないなら自分で、複雑な事情があるなら相談するという分け方が現実的です。

登録後は、更新の時期を管理する必要があります。10年ごとの更新を忘れると権利が消滅するため、カレンダーに記録しておきましょう。

まとめ

musician signing documents studio (Photo: RDNE Stock project / Pexels)

アーティストの商標登録について、押さえておきたいポイントを整理します。

  • 商標は名前やロゴという目印を守る制度で、作品を守る著作権とは役割が違う
  • 日本では原則として先に出願した人が登録を受けられる
  • 長く使ってきた事実だけでは、必ずしも名称を守れない
  • グッズ展開や全国的な活動を見込むなら、検討の優先度が上がる
  • 区分は45に分かれ、選んだ数だけ費用が増える
  • 特許庁のJ-PlatPatで、先行する商標を無料で検索できる
  • 読みが近い名称や表記違いも含めて調べておく
  • 審査には数か月から1年程度かかり、登録の効力は10年間
  • 自分で出願もできるが、区分の選定に不安があれば弁理士への相談を検討する

まずはJ-PlatPatで、自分の活動名を検索してみてください。無料で数分あれば終わり、今の立ち位置がはっきりします。


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