アーティストが知っておきたい経費一覧と確定申告の基本
音楽活動をしていると、楽器の購入やスタジオのレンタル料、ライブの交通費など、さまざまな出費が生じます。「これって経費になるの?」と疑問に思ったことがある方は多いのではないでしょうか。
経費をきちんと把握することは、確定申告を正確に行ううえで欠かせません。また、経費として計上できる支出を見落とすと、本来より多い税金を払ってしまうことにもなりかねません。
そこで本記事では、アーティストが音楽活動で計上できる経費の一覧と、その考え方の基本を解説します。確定申告を初めて経験する方にも読みやすいよう、なるべく具体的にまとめました。最後まで読んでいただくと、自分の活動に当てはまる経費を整理するヒントが得られます。
なお、税務上の判断は個人の状況によって異なります。正確な申告については、税理士など専門家への相談もあわせてご検討ください。
経費として計上できるとはどういうことか

確定申告において「経費」とは、収入を得るために必要だった支出のことを指します。
事業所得や雑所得として音楽活動の収入を申告する場合、関連する支出を経費として差し引くことができます。その結果として課税所得が減り、納税額が抑えられる仕組みです。
ただし、「音楽が好きだから買った」という個人的な支出と、「音楽活動のために必要だった」という業務上の支出はきちんと区別する必要があります。経費として認められるかどうかは、その支出が収入につながる活動に直接関係しているかどうかが基準のひとつとなります。
レシートや領収書の保管も重要です。支払いの記録を日ごろからきちんと残しておく習慣をつけておくとよいでしょう。
アーティストが計上できる経費の一覧

楽器・機材・消耗品
演奏や制作に使う道具は、代表的な経費のひとつです。
– 楽器本体(ギター、キーボード、管楽器など)
– エフェクター、アンプ、スピーカー
– マイクやオーディオインターフェース
– レコーディング用ソフトウェア(DAWなど)
– 弦、リード、バチ、電池などの消耗品
楽器本体のように高額なものは、金額によって一度に全額を経費にするのではなく、複数年にわたって分割して計上する「減価償却」が必要になる場合があります。購入金額と耐用年数を確認しておくとよいでしょう。
スタジオ・リハーサル・録音にかかる費用
音楽活動に伴う場所の使用料も経費として認められやすい支出です。
– 練習スタジオのレンタル費用
– レコーディングスタジオの使用料
– ライブハウスの出演費・会場費
– 音源制作やMIXを外部に依頼した費用
自主企画ライブのために会場を借りた費用や、スタジオでのリハーサル代は、収入を得るための活動に直結するため計上しやすい項目です。
交通費・宿泊費
ライブや収録、打ち合わせのための移動にかかる費用も対象になります。
– 電車・バス・新幹線などの交通費
– 遠征時の宿泊費
– 車で移動した場合のガソリン代・高速代・駐車場代
ただし、自家用車を私的な用途にも使っている場合は、業務に使った割合のみを経費として計上するのが原則です。移動の記録(いつ、どこへ、何の目的で)を残しておくと整理しやすくなります。
衣装・ヘアメイク・スタイリング
ライブや撮影のための衣装や美容代も、条件によっては経費になります。
– ステージ衣装の購入費
– ライブ・撮影用のヘアメイク費
– 衣装のクリーニング代
ここで注意したいのは、「日常生活でも着られるもの」は経費として認めてもらいにくい場合があるという点です。ステージでしか使わない特殊な衣装や、明らかにパフォーマンス用とわかる衣装であれば、経費として計上しやすくなります。
宣伝・広告・デザイン費
活動を広めるためにかかった費用も対象です。
– フライヤー・チラシの印刷費
– ライブ告知のための広告費(SNS広告など)
– ウェブサイトの制作・維持費
– ジャケットやロゴのデザイン依頼費
– 写真撮影(アーティスト写真など)の費用
インディペンデントアーティストとして活動する場合、宣伝は自分で行うことが多いため、この分野の支出を見落とさずに記録しておくことが大切です。
通信費・サブスクリプション
音楽活動のために使っているオンラインサービスや通信費も計上の対象になりえます。
– 音楽制作ソフトのサブスクリプション料
– 楽譜・音源配信サービスの利用料
– 活動に使うスマートフォンやPCの通信費(業務使用分)
– オンラインストレージの利用料
スマートフォンやインターネット回線は私的にも使っている場合が多いため、業務使用の割合を按分(あんぶん)して計上するのが一般的です。
書籍・教材・レッスン費
スキルアップのためにかかった費用も、一定の条件で経費になります。
– 楽譜・教則本の購入費
– 音楽理論や語学などの書籍
– 個人レッスン・ワークショップの受講料
「現在の活動水準を維持・向上させるための学習」は経費として認められやすい傾向があります。一方で、まったく新しい職種に転職するための学習費は認められにくいとされています。
打ち合わせや交流にかかる飲食費
関係者との打ち合わせや、活動に関する交流にかかった飲食費は「接待交際費」として計上できる場合があります。
ただし、すべての飲み会が対象になるわけではありません。「誰と、何の目的で」会ったかを記録しておくことが、後から整理するうえで役立ちます。
経費を管理するための3つの習慣

領収書・レシートをすぐに保管する
支払いのたびに領収書やレシートを受け取り、一か所にまとめておきましょう。デジタル管理する場合は、スマートフォンで撮影してフォルダ分けするだけでも十分です。
用途をメモしておく
領収書があっても、後から「これは何の支出だったか」がわからなくなることがあります。購入した日に簡単なメモ(「〇〇のリハ用スタジオ代」など)を残しておくと、整理するときにスムーズです。
家計(プライベート)と活動費を分ける
可能であれば、音楽活動用の口座やクレジットカードを別に用意するのがおすすめです。収支の把握が格段に楽になり、確定申告の作業も短縮できます。
まとめ
アーティストが計上できる主な経費をまとめると、次のようになります。
– 楽器・機材・消耗品
– スタジオ・レコーディング・ライブ会場費
– 交通費・宿泊費
– 衣装・ヘアメイク費
– 宣伝・デザイン費
– 通信費・サブスクリプション
– 書籍・レッスン費
– 打ち合わせ飲食費(接待交際費)
経費の計上は「節約」ではなく、正確な所得を申告するための正当な手続きです。日ごろから記録を残す習慣をつけることで、確定申告の負担を大きく減らすことができます。
税務上の取り扱いは個人の状況によって異なりますので、不明な点は税理士や税務署に確認するようにしてください。
毎日配信をしても、お客さんは増えない。
告知をしても、ライブの客席は空いたまま。
新しい曲を作っても、誰にも届かない。
努力はしているのに、ほとんどの人が報われない。
それが、多くのアーティストが直面している現実です。
「もっと集客を頑張れ」と言われても、簡単にできたら誰も悩んでいません。
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