地方×主婦の音楽活動は成立する?諦めかけた先に見つけた答え
「音楽で食べていくなんて無理」
そう自分に言い聞かせて、夢を手放した人は少なくないはずです。
nananさんもそんな風に、どこかでブレーキをかけながら、音楽への想いを抱え続けていました。
慣れない地方での生活、子育て、仕事。
限られた時間の中で、続ける音楽活動。
“音楽一本で生きるなんて現実的じゃない”——
そう思われがちな環境の中で、なぜ彼女は音楽を続けることができたのか。
その理由を、紐解きます。

音楽を諦めたはずだった日々と、消えなかった想い
「音楽で生きていくのは無理だと思ったんです」
中学時代、ガールズバンドをきっかけに音楽に触れ、歌うことの楽しさを知ったnananさん。
しかし家庭の事情もあり、“夢”ではなく“現実”を選び、旅行会社へ就職します。
それでも音楽への想いは消えず、ボイストレーニングに通いながらオーディションにも挑戦。
やがて縁あってボイストレーナーとして働き始め、シンガーソングライターとしても活動していく道を選びます。
ただ、ダブルワークの負担は大きく、体調を崩してしまい、再び音楽から離れることに。
会社員としての生活に戻り、「カラオケで上手い人で終わっていた時期もありました」と振り返ります。
そんな中で訪れたのが、転職先で企画していた青空市場でした。
子ども向けの出し物として歌を披露したことをきっかけに、再び人前で歌うようになります。
月に一度の青空市場での歌唱と、年に数回のライブ。
規模は大きくなくても、音楽と関わり続ける日々が戻ってきました。
しかしその後、結婚を機に茨城へ移住。
家族も友人もいない土地で、大きな孤独を感じる日々が始まりました。

地方での音楽活動と、転機となった出会い
茨城に移住してからの約1年は、ほとんど家にこもる日々が続いていました。
仕事を見つけ、少しずつ人とのつながりができていく中で、「歌いたい」と周囲に相談。
そこから地域のイベントや高齢者施設など、歌う機会を得るようになります。
そんな中で出会ったのが、のちに「茨城の父」と慕う男性でした。
長く地域で音楽活動を続けてきた存在で、一緒にライブに出演するなど、活動の幅は少しずつ広がっていきます。
道の駅や地域のお祭り——
場所は決して大きくなくても、音楽を届ける機会は確かに増えていきました。
しかしその一方で、ある違和感が残ります。
「セミプロだよねって言われたとき、すごく悔しかったんです」
本気で取り組んでいるはずなのに、どこか趣味の延長のように見られてしまう。
「音楽で生きたい。365日好きなことをやりたい」
その想いからコロナ禍の中で、仕事をやめ、ボイストレーナーとして独立をします。

coromとの出会いと、オンラインライブへの再挑戦
茨城に来て気づいたのは、この地域にはボイストレーニングの環境がほとんどないという現実でした。
「この町にボイススクールを作りたい」——それが、一つの夢でした。
自分と同じように夢を追う人が、挑戦できる場所をつくりたい。
歌手を目指すなら、そのためのトレーニングができる場所を。
スタジオを構え、ボイススクールを立ち上げました。
ボイストレーナーとしての活動を本格化させていきました。
一方で、自身の歌を届けるためにライブ配信にも挑戦します。
しかし、その結果はわずか「10円」。
「オンラインライブは無理だと思いました」
思うように届かない現実に、再び壁を感じていたそのとき。
届いたのが、オンラインライブプラットフォーム「corom」からのDMでした。
最初は半信半疑だったものの、代表の想いに触れ、もう一度挑戦することを決意。
2023年10月、オンラインライブへの再挑戦が始まります。

広がっていく景色と、「音楽で生きる」実感
茨城での音楽活動は、すべてフリーライブ。
だからこそ、チケット制のcoromでのライブは、大きな壁でした。
それまでの活動を通して、nananさんの歌は「無料で見られるもの」として認識されていたといいます。
その状態から、「お金を払ってでも観たい」と思ってもらうこと。
そこに、大きなハードルがありました。
最初のライブは25席。
満席にはなったものの、そのほとんどが知人や友人でした。
「とにかく一人ひとりに声をかけました」
手探りのまま、それでも毎月オンラインライブを続けていく中で、少しずつ変化が生まれます。
25席完売から、55席、100席、そして200席へ——。
挑戦を重ねるごとに、応援してくれる人の数が確実に増えていきました。
「coromを始めて、人生が変わりました」
地方での限られた人間関係だけだった環境は、ファンや他のアーティスト、スタッフとの出会いによって大きく広がっていきます。
これまで触れてこなかったジャンルの音楽にも出会い、視野も広がった。
そして何より、「音楽をやっている人」としての自信が生まれていきました。

音楽で生きるための、いまの選択
順調に見える活動の裏で、nananさんは今も試行錯誤を続けています。
ボイストレーナーとしての事業と、オンラインライブ。
どちらも本気で向き合う中で、常に余裕があるわけではありません。
「正直、ずっといっぱいいっぱいなんです」
それでも立ち止まらない理由は、歌うことだけではなく、人を支えたいという想いです。
ボイストレーナーとして向き合うのは、夢を追う子どもたちだけではなく、
子育てや仕事、介護など、自分のことを後回しにしてきた自分と同じ主婦の人たち。
「我慢してきた人って、声が出なくなるんです」
だからこそ大切にしているのは、上手く歌うことではなく、本来の声を取り戻すこと。
「声が変わると、人生も変わるんです」
歌うことと、人を支えること。
どちらも大切だからこそ、今も模索を続けています。
「自分が実験台になっている感覚ですね」
どうすれば音楽で生きていけるのか。
その答えを探しながら、一歩ずつ進んでいる最中です。
そして今、見据えているのは “普通の人でもできる”という証明。
子育てをしながら、地方にいても、音楽で生きていく。
そんな生き方を、自分自身で形にしていこうとしています。
その延長線上にあるのが、corom主催のリアルライブ、Zepp DiverCity(TOKYO)のステージです。
まずはそこに立つことで、一つの形を残したい。
そしてその先で、誰かの「やってみたい」を後押しできる存在になっていく——
それが、nananさんの次の目標です。

「何もない」からでも始められる。悩むあなたへ
最後に、同じように悩む人へのメッセージを聞きました。
「私はピアノも弾けないし、楽譜も読めませんでした。実績もない、ただの主婦です」
それでも今、続けられているのは、環境と、挑戦をやめなかったこと。
「coromという環境があったから、今独立系アーティストとして胸を張って活動できています。」
自分には何もないと思ってしまう人でも、何か必ずある。
「coromには同じように葛藤しながら頑張る仲間がいます。本当にゼロからでもスタートできる環境なので、ぜひ皆さんにお会いできたら嬉しいです」
音楽は、いつからでもやり直せる。
そして今は、地方でも、家庭があっても、続けられる時代です。
あなたの中に残っているその想いも、もう一度、形にできるかもしれません。
coromは、音楽を諦めきれない人が、もう一度歩き出すためのステージです。
あなたも、その一歩を踏み出してみませんか。
