曲構成のABABパターンとは?聴き手を飽きさせない作り方を徹底解説!
作りかけの曲が、途中で止まったまま動かない。冒頭の8小節はできているのに、その先をどう並べればいいのか分からない。そんな状態でDAWを開いたまま、時間だけが過ぎていく夜があります。
仕事や家事の合間に確保した1時間は、迷っているうちに終わってしまいます。手が止まる原因は、アイデア不足ではなく、並べ方の型を持っていないことかもしれません。
そこで本記事では、曲構成のABABパターンについて、意味と基本形から組み立ての手順、AとBの書き分け方、つまずきやすい点まで順を追って解説します。
曲構成のABABパターンとは?

ABABパターンとは、性格の異なる2つのブロックを交互に並べる構成のことです。1つ目のブロックをA、2つ目をBと呼び、A→B→A→Bの順で進みます。
日本のポップスでは、Aがいわゆる「Aメロ」、Bが「サビ」に対応する使われ方が一般的です。歌モノの多くが、この骨格の上に成り立っています。
ただし、Bを「Bメロ」の意味で使う人もいます。共作したり、アレンジを誰かに頼んだりするときは、最初にどちらの意味で話しているかをすり合わせておくと行き違いを防げます。
実際の楽曲では、最後にもうひと山を足した形がよく使われます。イントロ→A→B→A→B→C→B→アウトロという並びが、その代表例です。
このCにあたる部分は、大サビや落ちサビ、間奏と呼ばれるものです。ABABという骨格に、終盤の変化をひとつ足したと考えると理解しやすくなります。
素材が2種類しかないため、同じメロディが繰り返し耳に入ることになります。繰り返しは記憶に残る最大の要因ですから、覚えてもらいたい曲との相性は良いといえます。
一方で、並べ方を工夫しなければ単調にも聞こえます。この型を使いこなせるかどうかは、繰り返しをどう変化させるかにかかっています。
ABABパターンと他の構成の違い

構成の型は他にもあります。違いを知っておくと、曲ごとに選び分けられるようになります。
AABA形式との違い
AABA形式は、同じAを2回続けてから、性格の違うBを1回だけ挟み、またAに戻る構成です。ジャズのスタンダードや昭和期の歌謡曲に多く見られます。
ABABとの最大の違いは、Bの登場回数です。AABAではBが1回しか出てこないため、Bが「特別な一瞬」として響きます。
繰り返しでねじ込む力はABABのほうが強く、余韻や物語性はAABAのほうが出しやすい傾向があります。しっとりした曲を作りたいときは、AABAも候補に入れてみてください。
Aメロ・Bメロ・サビの3ブロック型との違い
日本の歌モノで最も見かけるのが、Aメロ・Bメロ・サビの3ブロック型です。サビの直前に助走区間があるため、盛り上がりまでの落差を作りやすくなります。
ABABパターンは、この助走区間を持ちません。Aから直接Bへ飛び込むぶん、展開が速く、聴き始めてから最初のサビまでの時間を短くできます。
配信で最初の数十秒が重要になっている今、早くサビへ到達できる構成には実利があります。3ブロック型で間延びを感じたら、Bメロを削ってABABに寄せるという判断もあり得ます。
通しで展開する構成との違い
同じ形をほとんど繰り返さず、最初から最後まで展開し続ける曲もあります。バラードや器楽曲では珍しくありません。
表現の自由度は高い反面、聴き手の記憶に残る取っ掛かりが少なくなります。初めて聴く人に届けたい場面では、ハードルが上がります。
まずはABABで骨格を作り、慣れてから崩していく。この順番のほうが、完成まで到達しやすくなります。
ABABパターンが個人アーティストに向いている理由

限られた時間で制作する立場から見ると、この構成には現実的な利点があります。
作るべき素材が2つで済むことが、最も大きな点です。メロディもコード進行も2種類でよいため、1曲あたりの作業量がはっきりと減ります。
完成までの見通しが立つことも助けになります。AとBができた時点で残りは並べ替えと歌詞なので、あと何時間かかるかを見積もれます。締切のある活動では、この予測可能性が効いてきます。
弾き語りでも成立する点も見逃せません。伴奏を削っても骨格が崩れないので、ライブの編成が変わっても同じ曲を持ち込めます。
尺の調整がしやすいことも実務的な利点です。2周目のAを半分にする、間奏を抜く、といった操作で、イベントの持ち時間に合わせられます。
聴き手が覚えやすいという効果もあります。初めて来た人が、2回目のBで一緒に口ずさめる。小さな会場ほど、この一体感は伝わりやすくなります。
もちろん、すべての曲をこの型で作る必要はありません。ただ、手が止まりがちな時期の土台として持っておくと、制作のペースは安定します。
ABABパターンで曲を組み立てる手順

実際の作業順を、4つのステップに分けて整理します。
ステップ1:Bから作る
最初に作るのは、最も聴かせたいBのブロックです。曲の核になる部分から手をつけると、迷いが減ります。
8小節から16小節を目安に、メロディとコード進行をまとめてください。ここで「自分でも歌いたくなるか」を基準に判断すると、後の作業が楽になります。
Bが弱いまま先へ進むと、あとで全部を作り直すことになります。時間の半分をBに使うくらいの配分でも構いません。
ステップ2:Aを逆算して作る
次に、BへつながるようにAを逆算して作ります。Bが高い音域なら、Aは低めに置くと落差が生まれます。
Aは説明の役割を担う部分です。派手さより、Bへ向かう助走として機能するかを優先してください。
AからBへ移る2小節を何度も聴き返し、違和感があればAの終わりだけを書き直します。つなぎ目は、曲の印象を左右する要所です。
ステップ3:2周目の歌詞を書く
構成が決まったら、2周目のAに入る歌詞を書きます。ここは時間が進んだ場面や、視点が変わった場面を置くと自然に流れます。
1周目と同じ内容を言い換えただけでは、聴き手は先へ進んだ感覚を持てません。景色が変わったことが分かる一行を必ず入れてください。
Bの歌詞は、繰り返しても構いません。同じ言葉が返ってくることで、印象が強まります。
ステップ4:仮の尺で通して聴く
最後に、イントロとアウトロを仮でつけて頭から通します。3分から4分半が、配信でもライブでも扱いやすい目安です。
長いと感じたら、2周目のAを半分に切ってみてください。多くの場合、それだけで流れが良くなります。
AとBをどう書き分けるか

ABABパターンで単調になる原因の大半は、AとBの差が足りないことにあります。書き分けの物差しを持っておきましょう。
音域を変えることが、最も分かりやすい方法です。Bの最高音をAより3度から5度ほど高く置くと、それだけで別のブロックに聞こえます。
音符の長さを変えるやり方も有効です。Aを細かい音符で言葉数多く、Bを長い音符で伸びやかに。この対比は、歌詞の情報量とも連動します。
コード進行の落ち着き方を変える手もあります。Aは同じところをぐるぐる回り、Bで主和音へしっかり着地する。着地感の差が、盛り上がりを作ります。
歌詞の視点を変えると、意味の面でも差がつきます。Aで情景や出来事を描き、Bで気持ちを言い切る。この分担は多くの楽曲で使われています。
伴奏の厚みを変えるのは、アレンジ段階での定番です。Aは楽器を減らし、Bで一気に足す。宅録でも、鳴らすトラック数を変えるだけで実現できます。
これらを全部使う必要はありません。2つか3つを選んで、はっきり差をつけるほうが、聴き手には伝わりやすくなります。
2周目を飽きさせないアレンジの工夫

同じ素材が2回来る以上、2周目に何かを足すか引くかが必要です。お金をかけずにできる方法から挙げます。
楽器を1本だけ足すのが、最も手軽な変化です。2周目のAからシェイカーを入れる、タンバリンを重ねる。それだけで景色が変わります。
ドラムのパターンを変える方法もあります。1周目はハイハットを刻まず、2周目から8分で刻む。打ち込みなら数分の作業です。
あえて引くという選択も効果的です。2周目のAで伴奏をほぼ止め、歌とギターだけにする。足すより印象に残ることも多くあります。
コーラスを重ねるのも定番です。2回目のBでハモリを足すと、同じメロディが厚みを持って返ってきます。自分の声を録り重ねるだけで済みます。
最後のBだけ転調するという手もあります。半音や全音上げるだけで、終盤の高揚感が変わります。ただし歌える音域かどうかは、必ず先に確認してください。
間奏の長さを調整することも忘れないでください。2周目に入る前の数小節を、短くしたり伸ばしたりするだけで、曲全体のテンポ感が整います。
ABABパターンでつまずきやすい点と対処法

最後に、実際に作ってみたときに起きやすい問題を挙げます。
AとBが似てしまうのは、最も多いつまずきです。原因はたいてい音域が近いことなので、Bのメロディを丸ごと4度ほど上げて試してみてください。
2周目で緊張感が落ちるという声もよく聞きます。1周目とまったく同じ演奏になっていないかを確認し、前項の工夫をひとつ足すと改善します。
曲が短くなりすぎる場合もあります。ABABだけだと2分台で終わることがあるため、終盤にCブロックを足すか、間奏を1回入れると収まります。
逆に長すぎるときは、2周目のAを半分に切るのが最も痛みの少ない方法です。歌詞の情報量が多い曲では、削るだけで聴きやすくなります。
同じ曲ばかりできてしまうという悩みも出てきます。これは型の問題ではなく、コード進行やテンポの選び方が固定されているサインです。次の曲では、テンポを20ほど変えるところから始めてみてください。
どこがサビか分からないと言われる場合は、Bの入りに合図が足りていない可能性があります。直前の1拍を空ける、ドラムのフィルを入れるといった処理で、境目がはっきりします。
まとめ

曲構成のABABパターンについて、押さえておきたい点を整理します。
- ABABは性格の違う2つのブロックを交互に並べる構成で、A→B→A→B→C→Bの形がよく使われる
- Bを「サビ」と読む人と「Bメロ」と読む人がいるため、共作時は定義をすり合わせる
- AABA形式はBが1回だけで余韻が出やすく、ABABは繰り返しで記憶に残りやすい
- Bメロを持たないぶん、最初のサビまでの時間を短くできる
- 作る素材が2つで済むため、限られた時間でも完成まで見通しが立つ
- 作る順番は、Bを先に作り、Aを逆算し、2周目の歌詞を書き、仮の尺で通す
- AとBは音域、音符の長さ、着地感、歌詞の視点、伴奏の厚みで差をつける
- 2周目は楽器を1本足す、あえて引く、コーラスを重ねるといった工夫で変化を作る
- AとBが似てしまうときは、Bの音域を上げるところから見直す
まずは、いま手元にある一番良いメロディをBに置いて、そこへ向かうAを8小節だけ書いてみてください。並べる順番が決まっているだけで、手が動き出します。
毎日配信をしても、お客さんは増えない。
告知をしても、ライブの客席は空いたまま。
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