デモ音源の作り方を解説!オーディションに受かるデモ音源とは?
アーティストとして活動を広く知ってもらうためには「デモ音源」が欠かせません。デモ音源は、自分たちがどのような音楽をしているかを知ってもらうための名刺のようなものだからです。
しかし、オーディションで使用するデモ音源は、ただ録音するだけでなくバンドの魅力が伝わるような工夫が必要になります。
とはいえデモ音源を作ったことがないと「どうやって録音したらよいのか」「どうやれば音源のクオリティをあげられるのか」などさまざまな疑問があるでしょう。
この記事では、デモ音源の作曲から録音、そしてオーディションに受かるためのポイントまでを詳しく解説します。ステップごとにわかりやすく解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
バンドでのデモ音源(デモテープ)の作り方【作曲編】
まずは「作曲の方法」から解説します。
作曲方法はアーティストによっても異なり、正解はありません。
しかし、ここで紹介する方法は多くの人が使っているものなので、作曲初心者はまずはこの方法で作曲してみることをおすすめします。
ステップ1:キーを決める
デモ音源を作るために、まずは曲のキーを決めましょう。キーは曲の雰囲気や歌いやすさに大きく影響するからです。
キーを決めるうえで大切なのが「ヴォーカルの音域を把握しておく」こと。どれだけ曲にマッチしたキーでも、ヴォーカルが歌えなければ意味がありません。
自身のバンドのヴォーカルが出せる音域を把握したうえで、バンドのサウンドに合ったキーに決定してください。
ステップ2:テンポを決める
キーが決まったら、続いてテンポを決めます。
テンポは、曲のイメージをより具体化する重要な要素です。実際に歌いながら曲の流れを確認し、イメージに合ったテンポを探しましょう。
テンポが決まったらメトロノームやドラムマシンを使って、具体的なBPMを確認しておいてください。
ステップ3:構成を決める
構成を決めることで、曲全体の流れが見えてきます。イントロ、Aメロ、Bメロ、サビ、間奏、アウトロなど、各パートの構成を決定しましょう。
また「最初から盛り上げたいのでサビを頭にもってくる」「ギターを目立たせたいからソロを入れる」など、表現したいことやバンドの特色を活かして構成を考えると、よりオリジナリティのある曲になります。
またアイデアが浮かばなかったり、いつも同じような構成になったりしてしまう場合は、他の楽曲を参考にするのも一つの方法です。
ステップ4:ガイドメロディを入れる
ガイドメロディは、後で入れるメロディの基礎になるものです。ガイドメロディを入れることで、曲の骨組みができあがります。
このメロディはあとでアレンジを加えるため、凝りすぎず、シンプルなものにしておきましょう。
音色は鼻歌やピアノを使用するのが一般的です。
ステップ5:メロディにコードをつける
メロディが決まったら、それに合わせてコード進行をつけます。
同じメロディでも、コードが変われば雰囲気も大きく変わるので、メロディとの相性を考えながら選びましょう。
なかにはメロディよりコードを先に考える場合もあります。どちらが正解というわけではなく、人によって違うので、自分の得意な方やそのとき先に思い付いたものから考えましょう。
ステップ6:リズムを入れる
コードとメロディができたら、リズムを入れます。リズムを入れると、曲に動きとグルーヴが加わり、一気に曲の完成系が見えてくるでしょう。
リズムの中心となるのは「ドラム」と「ベース」。そのなかでも「8ビート」や「16ビート」など、ある程度パターンが決まっているドラムから考えるのがおすすめです。
ドラムパターンが決定したら、それに合うようにベースを加えます。
曲のテンポや雰囲気に合わせて色々なパターンを試しながら、ぴったりなものを見つけてください。
ステップ7:仮歌を入れる
仮歌を入れ、ガイドメロディと置き換えましょう。仮歌とは、本番のレコーディングの前に仮で入れる歌声のことで、メロディや歌詞が曲にフィットしているかを確認するために入れます。
そのためこのステップでは、表現したい感情やメッセージをイメージすることが大切です。
ガイドメロディを仮歌に置き換えたら、改めてメロディや歌詞が曲とマッチしているか確認してください。
ステップ8:テンポを見直す
曲の全体像が見えてきたら、もう一度テンポを見直します。全てのパートが揃った状態で、曲の流れや表現したいイメージが出せているかを確認し、必要に応じて調整を行いましょう。
このとき「Aメロだけ」や「サビだけ」のように特定のセクションだけを聞くとイメージしにくいので、曲全体を通して聞くようにしてください。
ステップ9:バンドでアレンジを考える
最後のステップでは、バンドメンバー全員でアレンジを考えます。曲全体についてや各パートの細かいニュアンスについて話し合い、調整していきましょう。
特に各パートの細かいアレンジについては、そのパートの演奏者に任せるのがおすすめです。
バンドでのデモ音源(デモテープ)の作り方【録音編】
曲が完成したら、今度は「録音」をしましょう。
録音方法にはさまざまなものがあり、それぞれ手軽さや費用などメリット・デメリットがあるので、自分たちに合ったものを選んでください。
1.スマホやICレコーダーを使う
もっとも手軽なのは、スマホやICレコーダーを使用する録音方法です。ボタンひとつで録音を始められますし、持ち運びも簡単なため、アイデアのスケッチとしても役立ちます。
しかし手軽さに優れている反面、音質は他の録音方法より悪いため、より完成度の高いデモ音源を作りたい場合は他の方法がおすすめです。
2.MTR(マルチトラックレコーダー)を使う
MTRとは、複数のトラックに分けて録音できるレコーダーです。
スマホのボイスメモやICレコーダーが一つのトラックしか録音できないのに対し、MTRは複数のトラックに分けて録音できるため、各楽器を別々に録音し、後で特定のパートだけ録り直したり編集したりできます。
使用方法も比較的簡単ですので、デモ音源作りにはぴったりの機器です。
3.DAWを使う
DAWは、MTRよりもさらに高度なレコーディング・編集ができる方法です。
エフェクトをかけたり、より細かい調整をしたりできるので、クオリティにこだわるならDAWを使用しましょう。
クオリティが高い半面、操作が難しいことやレコーディングするためにPC、オーディオインターフェースなど複数の機器が必要で、手間がかかるといったデメリットがあります。
そのためデモ音源はICレコーダーやMTRを使用し、本番のレコーディングでDAWを使うアーティストも少なくありません。
4.スタジオでレコーディングする
本番のレコーディングと同じレベルのクオリティでデモ音源を作りたい場合、プロのレコーディングスタジオでの録音がおすすめです。
プロのエンジニアによるサポートを受けながら、高品質な機材と優れた環境で録音を行うことができます。
しかし、その分費用が高いため、アマチュアのアーティストならデモ音源をスタジオでレコーディングすることはあまりありません。
オーディションに受かるデモ音源(デモテープ)のポイント
ここからは「オーディションに受かるためのデモ音源のポイント」を解説。
同じ楽曲でも、ポイントを意識して調整するだけで音源のクオリティが上がり、オーディションに受かる可能性が上がります。
ぜひ参考にしてください。
ノイズが多いのはNG!
デモ音源にノイズが多いと、楽曲の魅力が伝わりにくくなります。あまりにもノイズが多いとそもそも音源を聞いてもらえない可能性も。
スマホなどで録音する場合でも置き場所に気を付けるなど工夫し、できる限りクリアで聴きやすい音質を心がけましょう。
リバーブをかけすぎない
初心者にありがちなミスが「リバーブを極端にかける」ことです。リバーブは音に広がりを与える効果がありますが、かけすぎると音がぼやけてしまいます。
適切な量を心がけ、曲の雰囲気に合わせて調整しましょう。
録音音量を適切にする
録音の音量は小さすぎても大きすぎても良くありません。
小さすぎると環境によっては曲が聞こえませんし、大きすぎると音が割れたり聴き手に不快感を与えたりしてしまいます。
普段自分が聞いてる曲の音量などを参考に、適切な音量で録音しましょう。
曲ごとの音量のバラつきをなくす
デモ音源内に複数の曲が入っている場合、曲ごとの音量にバラつきがあると、曲が変わるたびに聴き手が調整しなければならず不親切です。
音量調整だけならPCやスマホのアプリでも簡単にできるので、音量が一定になるように調整しましょう。
自信のある曲を1曲目に持ってくる
デモ音源を聴く側は、最初の曲でバンドの印象を強く受けます。またオーディションの審査員はかなりたくさんの音源を聞かなければいけないため、一曲目で惹かれなければ以降の曲は聞いてもらえない可能性も少なくありません。
そのためもっとも自信があり、バンドの特徴がよく出ている曲を1曲目にもってくるのがおすすめです。
デモ音源(デモテープ)の作り方を知り、オーディションに挑戦しよう
デモ音源の作成には「作曲」「録音」「調整」といった、さまざまな工程があります。
慣れないうちはとても時間がかかり大変ですが、一つ一つの工程を丁寧にこなすことが音源のクオリティを上げるためには大切です。
本記事を参考に、納得できるデモ音源を作り、ぜひオーディションに挑戦してみてください。